研究課題/領域番号 |
24560249
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 上級主任研究員 (90357369)
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キーワード | プラズマ支援燃焼 / 非平衡プラズマ / ストリーマ放電 / 誘電体バリア放電 |
研究概要 |
本研究は非平衡プラズマによる高温高圧状態にある予混合気の着火特性について明らかにすることを目的としている。繰り返し放電の形成による着火を想定した連続ストリーマ放電における前放電が後放電に与える影響について、イオン分子の解離性再結合による減衰が後放電の放電路を支配していることを明らかにした。この知見により繰り返しパルスの時間間隔が近すぎると体積的な着火が実現できなくなることを定量的に評価できると考えられる。さらに前年度に開始した急速圧縮膨張装置による実験を引き続き実施し、その中で非平衡プラズマを圧縮前の予混合気に照射することによって、その予混合気の圧縮着火特性が顕著に変化することが明らかとなった。その効果はノルマルヘプタン等の低温酸化を有する燃料において著しく、わずかな照射で圧縮着火における着火遅れ時間が短縮した。また同効果は低温酸化反応を有しないメタンにおいても観測された。ノルマルヘプタンにおける効果は従来のオゾン添加と同程度であるが、メタンの場合には用いた実験条件ではオゾンの効果は無かった。予混合気が非平衡プラズマに照射されてから圧縮されるまでには秒単位以上の時間があることから、比較的長寿命な分子による寄与が予想されるが、水素、アルデヒド、過酸化水素等やそれ以外の化学種の寄与なのかはまだ特定には至っていない。また、これまで実施した化学動力学シミュレーションでも実験結果の再現には至っていない。過去の化学種添加実験の結果では非常に多い量を添加することで着火の促進を図った実験例が報告されているが、現在までの簡易分析ではその様な多量の化学種の形成を示すデータは得られておらず最終年度に向けて有効な着火実験や分析方法の構築が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高温高圧下における放電形成技術開発に関してはまだ検討段階に留まっているが、本研究の目的である、化学反応シミュレーションと着火実験結果の比較による反応モデルの構築に対して、予混合気に非平衡プラズマ形成法の一つである誘電体バリア放電の照射を行うことで着火遅れを定量的に調べる実験技術を開発した。これにより急速圧縮膨張装置を用いることで着火遅れのアレニウスプロットを取得し、着火機構を検討する上で不可欠なシミュレーションとの比較を行う。
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今後の研究の推進方策 |
急速圧縮膨張装置により種々の初期状態に対する圧縮着火特性を調べることで、どの様な化学種がこれまでに得られている顕著な着火促進効果に寄与しているのかを調べるとともに、化学種そのものを分析する方法について検討、実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算執行の端数として8,456円となった。 実験に必要な高額な配管継手一式等の購入にあわせて支出する計画である。
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