研究課題/領域番号 |
24560250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長嶺 拓夫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00323379)
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研究分担者 |
佐藤 勇一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30134828)
森 博輝 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50451737)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自励音 / ウインドスロッブ / 空力騒音 / 低周波 |
研究概要 |
自動車の窓を開けて走行すると、室内空間と走行による風のながれが干渉し低周波音が車内に発生することがある.この現象はウインドスロッブと呼ばれ,その発生原因は、窓の開口部で生じる渦の剥離の周波数と車室の固有振動数が一致し起こるヘルムホルツ共鳴だと考えられている。ウインドスロッブによる問題はサンルーフを開放して走行する場合や側面の窓を開放して走行する場合に起こることが知られている。この問題を技術的に解決する方法が検討され、特許として公開されている.ディフレクターを用いる方法が多いようであるが、様々な方法が用いられている。しかしながら、自動車に取付けられてその振動の防止を達成しているものはないようである。本研究では、ウインドスロッブ音を低減するために、車の内部空間にバッフルプレートを設けることで発生する渦の流れを変え共鳴を防止できると考ている。また、内部に設置することにより、新たに風切り音などの空力音を発生させる心配はない。このため従来のディフレクターなどよりも本研究課題による振動の防止方法には有利な点があると考えられる。H24年度は実車の走行時における実験と実験室内での小型共鳴器を用いた実験を実施した。実車における実験では、バッフルプレートの仕様について検討を行った。仕様のパラメータとしては、プレートの幅、長さ、取付け角度および位置についてパレーメータ毎に実験を行い最も防音効果の高い仕様を検討した。実験室内では、ヘルムホルツ共鳴器を用いてバッフルプレートまわりの流れ場の可視化を行い流れ場と低周波騒音の関係について明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実車の走行時における実験では、実際にウインドスロッブ音を防止することができることを明らかにしている。この実験結果により、実際にウインドスロッブ音を止めることが可能であることが示されたと判断できると考えている。しかしながら、製品として開発するためには実車においてバッフルプレートをどのような構造物で取付ければよいか等の設計上および安全と運用の問題が残っている。加えて実験室内での小型のヘルムホルツ共鳴器を用いた実験により、流れ場の様子を可視化し観察することができた。これを基に、数値シミュレーションを行いより詳細な検討を今後実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
実車においてウインドスロッブ音の発生を防止することが出来た実験結果をもとに、運転時の安全性や窓としての機能性を維持した上での低周波騒音防止の設計上の仕様を検討する。実験室内の小型ヘルムホルツ共鳴器の可視化実験により渦の挙動が観察できている。これを基に、低周波騒音の防止法のメカニズムを明らかにする。このため、数値シミュレーションを実施し防止法のメカニズムについて更なる検討を行い、最適な防音形状及び方法を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の実験結果に引き続き、検討を加えるとともに実験室内での可視化実験と騒音防止実験を実施する。実験装置の改造と数値シミュレーションソフトを用いるために研究費を使用する。実験および計測データの整理については、大学院の学生に協力を依頼し謝金を支払う。その実験結果と数値シミュレーションの結果を比較しながら、低周波音の防止方法を構築する予定である。研究成果については、順次国内外の学会にて報告するとともに、関連分野での研究成果の情報も収集していく。
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