研究課題/領域番号 |
24560253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂本 秀一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40211932)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 吸音材料 |
研究概要 |
「吸音材の専有体積を半分にする」ための研究を、古紙を再利用した吸音材料について行った。断面積を漸進的に絞った吸音材料で所望の性能が得られるよう試作を行った。これにより同じ厚さで両面の吸音が可能となった。古紙を再利用した吸音材料について、多くの実験結果が得られ日本機械学会に論文として投稿した。 稲藁を用いた吸音材料については、稲藁を斜めに配した300mm四方の大きさの試作品を作り、これの吸音率を測定するために粒子速度プローブを用いた。この試作品は構造的に、測定管に入れることが難しく、従来は音響特性の測定が出来なかった。そこで、粒子速度プローブで表面のインピーダンスを直接測定する方法による方法を試みた。また、粒子速度プローブを用いることにより稲藁の吸音材料における斜め入射吸音率を測定できる目処が立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「構造の音響特性への影響因子の切り分け」は平成25年度に行う予定であったが、理論解析の進捗が部分的に予定を上回ったため、細い円管に関しては、吸音率や透過損失が定期説にシミュレーション出来るようになった。そのため、これに関して実験と計算を比較した結果を、日本機械学会に論文として投稿した。 また、稲藁を束ねた際の異形の隙間についても、3つの円柱に挟まれた隙間について実験を行った。理論解析も推進中であり、途中経過を学会で口頭発表する事が出来た。稲藁の断面に存在する同心円状の隙間についても理論解析を着手したところである。 古紙を利用した吸音材料については、前項で述べたように、実験的研究は多くの成果が得られ、日本機械学会に論文として投稿した。現在は理論解析に着手したところである。 また、インピーダンス管に入らない大きな稲藁試料の吸音率を粒子速度プローブにより測定することが出来た。また粒子速度プローブによりこれらの試料の斜め入射吸音率を測定できる目処が立ち、予備実験では興味深い特性が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
構造の音響特性への影響因子の切り分けを行う。稲藁形状に類似したものを人工的に作ろうとしても容易ではない.どの部分が吸音性能に寄与しているかを樹脂や金属の細管等を用いて模擬した実験を進める。また、バイオマスなどの試料の幾何学的寸法をデジタルマイクロスコープで測定する予定である。 不織布などの表面材との積層時の音響特性を明らかにする。表面材を持つ試作品について、粒子速度プローブで測定する。こうしたバイオマスを応用した吸音材では、そのまま自然の風合いを生かす方法もあるが、特に籾殻およびそば殻などの場合は飛散することや、それ自身では形状が保てないことから、何らかの枠に入れて表面材料で被覆することが必要である。表面材料は、吸音を妨げない、あるいは補助する役目の、薄い多孔性材料が適している。研究代表者は過去に、異種材料を積層した場合、ある程度厚みがある材料では、予測が実験と良く一致する事を示した。しかし、0.1 mm単位の薄い表面材料になると、音響管による測定値が形状誤差に起因して大きくばらつく。そのため、異種材料との積層時の特性予測が事前には困難である事が研究代表者の実験により判っている。そこで、こうした試料については、粒子速度プローブで測定した値を用いる計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
稲藁の断面の幾何学やそれらを束ねた時の吸音効果は興味深く,吸音材料用に作られたのではないかと思うほど吸音に適した幾何学になっている.各部の幾何学の吸音効果への寄与率は未だ不明の部分が多いため、幾何学的寸法を被写界深度が高い「デジタルマイクロスコープ」で測定し、その幾何学を参考にして、他の材料を用いた模擬試料を製作する必要がある. 現状では、光学式顕微鏡で観察を試みたが、天然物は入射面の切り口が完全に揃っていないため、必要な倍率まで上げると被写界深度が浅くなり、試料組織の全体像の把握が困難であった。現在は実際作った試料の幾何学的な寸法を、大まかな割り算で(外寸と本数など)把握している状態であり、寸法の大小のばらつきなどが、どの程度音響特性に影響しているかを把握したい。
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