「吸音材の専有体積を半分にする」ための研究を、古紙を再利用した吸音材料について行った。断面積を漸進的に絞った吸音材料について多くの試作を行った。これにより同じ厚さで両面の吸音が可能となった。 上記の、古紙を利用した吸音材料について、様々な構造および寸法における吸音率を求めるための理論解析を行った.まず平行な二平面による隙間を用いた吸音構造について,理論解析を行った.続いて,屏風形の構造について,音波が入射する垂直方向に伝達マトリクスを分割することにより解析を行った.次に,音波が入射する奥行き方向に向かって隙間が狭くなる楔形構造について,音波の入射方向に伝達マトリクスを分割することにより解析を行った.これらの解析対象について,吸音率の計算結果を求めた.また,解析対象に相当する試料を製作し吸音率の測定を行い,計算結果との比較を行った。 「構造の音響特性への影響因子の切り分け」について、細い円管に関しては、吸音率や透過損失がシミュレーション可能になった。これに関して実験と計算を比較した。さらに、稲藁を束ねた際の異形の隙間について、3つの円柱に挟まれた隙間について実験および理論解析を行った。加えて、稲藁の断面に存在する同心円状の隙間についても実験および理論解析を行った。 稲藁を斜めに配置することにより、吸音材の実効厚さを増大させる実験を行った。稲藁を斜めに配置できる装置を機械加工により製作した。実験と、基礎的な理論解析を用いて、60度傾けた稲藁材料は、実効長さが見かけの2倍になることと、傾けない場合の半分の物量に等価であることを示した。インピーダンス管に入らない大きな稲藁試料の吸音率を粒子速度プローブにより測定することが出来た。また粒子速度プローブによりこれらの試料の斜め入射吸音率を測定できる目処が立った。
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