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2012 年度 実施状況報告書

磁気粘弾性エラストマによる同調型動吸振器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560256
研究種目

基盤研究(C)

研究機関金沢大学

研究代表者

小松崎 俊彦  金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80293372)

研究分担者 岩田 佳雄  金沢大学, 機械工学系, 教授 (90115212)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード振動制御 / 動吸振器 / 磁気粘弾性エラストマ / 可変剛性 / 機能性材料 / 準能動型制御
研究概要

本研究課題では,外部磁場の印加によってその弾性的性質を変化させることのできる磁気粘弾性エラストマを機械構造物の制振装置へ応用することを考え,在来技術として知られる受動型の制振装置よりも機能性を高め,なおかつ能動型の制振装置と比較してより安価にかつ信頼性の高い準能動型制振システムを構築・提案することを目的として,外部磁場による剛性及び固有振動数の可変性を有する同調型動吸振器を開発し,その制振性能について理論的・実験的に検証する.
本年度はまず初期検討として,主振動系及び剛性可変型動吸振器の数値計算モデルを構築し,最適設計理論に基づく既存の受動型動吸振器と比較した結果,外乱振動数に応じて動吸振器の固有振動数を同調させる提案方式では可変振動数範囲全般に渡り効果的な制振が可能であることを明らかにした.また,調和的な励振に限定しているものの,同様の数値モデルを用いて,提案装置の固有振動数を自動的に外乱振動数へ同調させるためのアルゴリズムについて検討を行い,制振性能を低下させることなく,リアルタイムに外乱振動数へ動吸振器の状態を同調させ,有効な制振が可能であることを示した.
さらに,数値的な検討結果を踏まえて,剛性可変型動吸振器,制振対象構造物模型及び加振試験装置の設計と製作を行った.まずは製作した動吸振器の基本性能の確認として,振動数同調範囲を実験的に検証した.磁気粘弾性エラストマの剛性変化率から予測される固有振動数変化幅(2倍)よりはやや狭いものの,おおむね基準値に対して1.5倍の変化率を確保できた.続いて,固有振動数可変範囲内の任意の外乱振動数に対して,印加磁場の手調整によって動吸振器の固有振動数を外力振動数に合わせ,主振動系の応答特性を測定した結果,特性固定時と比べて主系応答が常に小さく抑制され,主系構造物振動応答の反共振点を追従するような制振効果が得られることが確認できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数値計算モデルの構築と理論的検証については,交付申請書に記載した当該年度の研究実施計画のとおりに実施し,研究課題を提案する段階において予測されたとおりの結果を得ることができたため,十分に達成されたと考えている.また,同様の数値モデルに基づく動吸振器固有振動数の同調アルゴリズムの検証についても,ほぼ当初想定されたとおりの結果を得ることができている.さらに,提案する制振装置及びその周辺装置の製作と制振性能評価についても,当該年度の実施計画に挙げたとおりに進めているため,現時点でほぼ順調に研究を進めることができているものと判断できる.ただし,磁場解析ソフトウェア等を用いた材料への磁場印加効率向上の検討が不十分であるため,製作した装置のさらなる性能向上へつながるよう,引き続き検討を行っていく必要がある.

今後の研究の推進方策

今年度に引き続き,次年度は数値計算モデルに基づく動吸振器の外乱同調アルゴリズムの開発に取り組み,多様な外乱に対して適応的に追従可能な同調型動吸振器の実験的評価に向けて,数値モデルで検証した制御アルゴリズムの再検討とDSPコントローラへの実装を行う予定である.また,時々刻々変動する外乱に追従して,コイルに印加する電流にも高速性が求められるため,既設の高速応答電源を導入し,これらに関連する装置構成の改良と調整を行う.さらに,外乱非定常性の基本的な場合として,回転体等を含む機械構造物の運転周波数が徐々に変化することを模擬して掃引正弦波を加振入力として与え,主系共振点通過時の応答を計測し,同調型動吸振器の制振性能を実験的に評価する.これらに加えて,今年度に検討不十分であった磁場印加効率の向上についても引き続き検討を行い,少ない電力で大きな特性変化幅を確保する観点から装置構成について見直しを行っていく予定である.

次年度の研究費の使用計画

物品費の内訳として,提案する動吸振器及び可変剛性材料の改良製作費(消耗品)として10万円程度を,また,動吸振器の特性を外乱に同調させるためには信号の高速処理が要求されるため,20万円程度をDSPコントローラ(設備備品)の導入に使用する予定である.一方,これまでの研究成果を,特に海外へ向けて発信するために国際会議へ参加し,講演発表を行うための旅費として40万円程度を使用する.渡航先は本年6月に韓国,9月にアメリカ合衆国の2か国を予定している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Development of a Dynamic Absorber with Variable Stiffness Property using Magneto-rheological Elastomers2013

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko KOMATSUZAKI, Yoshio IWATA, Hirofumi RINGE and Keiji KAWAGOSHI
    • 学会等名
      The 15th Asia Pacific Vibration Conference (APVC2013)
    • 発表場所
      済州島(韓国)
    • 年月日
      20130602-20130606
  • [学会発表] 磁気粘弾性エラストマを用いた構造物のセミアクティブ振動制御2013

    • 著者名/発表者名
      小松崎俊彦,岩田佳雄,山下剛
    • 学会等名
      日本機械学会北陸信越支部第50期総会・講演会
    • 発表場所
      福井大学
    • 年月日
      20130309-20130309
  • [学会発表] 磁気粘弾性エラストマを用いた可変剛性型動吸振器の開発2012

    • 著者名/発表者名
      林下宗史,小松崎俊彦,岩田佳雄
    • 学会等名
      日本機械学会Dynamics and Design Conference 2012
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      20120918-20120921
  • [学会発表] MRエラストマによる構造物のセミアクティブ制振2012

    • 著者名/発表者名
      山下剛,小松崎俊彦,岩田佳雄
    • 学会等名
      日本機械学会Dynamics and Design Conference 2012
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      20120918-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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