研究課題/領域番号 |
24560256
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80293372)
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研究分担者 |
岩田 佳雄 金沢大学, 機械工学系, 教授 (90115212)
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キーワード | 振動制御 / 動吸振器 / 磁気粘弾性エラストマ / 可変剛性 / 機能性材料 / 準能動型制御 / 同調型制御 |
研究概要 |
本研究では,磁場に反応してその粘弾性特性を可変とすることのできる磁気粘弾性エラストマを機械構造物の制振装置へ応用することを考え,在来技術として知られる受動型の制振装置よりも機能性を高め,なおかつ能動型の制振装置と比較してより安価にかつ信頼性の高い制振システムを構築・提案することを目的として,外部磁場の印加による固有振動数の可変性を有する同調型動吸振器を開発し,その制振性能について理論的及び実験的に検証する. 平成25年度は,前年度の数値的検討においてその有効性が示された外乱振動数への同調アルゴリズムをコントローラとして実装し,同じく前年度において試作・検討した同調型動吸振器の固有振動数を外乱振動数に応じてリアルタイムに変化させることによって,外乱追従型の制御が可能であるかを実験により評価した.まずは振動数一定の定常加振を与えた場合について検討を行った結果,前年度の数値的検討,及び基本特性試験結果から予測されるとおり,磁気粘弾性エラストマの弾性率変化範囲に対応する動吸振器固有振動数の変域内において,主系構造物の振動応答の反共振点を自動的に追従し,主系応答が常に小さく抑制されることが実証された.さらに,非定常外乱の一例として,振動数が一定速度で上昇/下降するスイープ加振を与え,同様の制御実験を行ったところ,20Hz/sという比較的速いスイープ速度で加振した場合でも追従して高い制振効果を維持できることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外乱への自動同調アルゴリズムの実機への実装,及び試作した制振装置に関する性能評価実験は交付申請書に記載した当該年度の研究実施計画通りに実行し,研究計画当初の予測,及び前年度に検討した数値的な制振性能予測結果にほぼ合致する実験結果を得たので,現時点までの検討は順調に進めることができているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に引き続き,平成26年度は非定常外乱に対する同調型動吸振器制振性能の追従性を検討していく予定である.具体的には狭帯域ランダムノイズの加振入力を加え,動吸振器の適応性を評価する.この場合,瞬時卓越振動数の検出がスイープ加振時よりもさらに難しくなることが予想されるため,同調アルゴリズムについて再検討が必要と考えている.この課題をクリアしたうえで,装置の実用化に向けたさらなる課題を整理し,本研究課題の総括を行う予定である.
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