研究課題/領域番号 |
24560259
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204777)
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キーワード | 異常診断 / 逆問題 / モード解析 / 特異値分解 |
研究概要 |
逆問題のためのモード解析法の構築に関して,昨年度は,測定点と同じ数の振動モードで応答を展開し,近似的に全自由度の応答を得る方法について,数値的な検討を行ったが,実験データを模擬する方法に問題が残った.そこで本年度は,乱数を用いて数値シミュレーションにおける実測データを構築して検討を行った.その結果,若干測定精度が悪くても,測定点数を増やすことで診断精度を維持できることがわかった. 次に,実際の異常診断において,少ない測定点のデータから仮想的に測定点数を増加させる方法を構築した.得られる測定データは,正常時と異常発生時の,測定点における応答である.加振方法はランダム加振を採用するので,適当な周波数範囲のデータが得られている.そして異常状態と正常状態の応答変化量を用いて診断を行うため,応答変化量を仮想的に増加させることが必要である.そのため以下の方法を構築した.初めに正常状態の数学モデルを構築する.初期段階の数学モデルは,計測された形状や標準的な特性値によって構築する.今回採用した診断対象物の場合,振動試験のための加振機を診断対象に取り付ける部分の剛性の影響が不明確であるため,全ての測定点の,全ての周波数の応答が平均的に一致するように数学モデルを修正した.この時,実測値とシミュレーション値には差異があり,両者の比率を計算しておく.次に,実測の応答変化量に,先ほど計算した比率を作用させ,シミュレーションの応答変化量を推定する.この値は測定点でしか得られないので振動モードで展開し,近似的に全自由度の応答変化量を得る.このようにして仮想的に測定点数を増加させ,既に構築している異常診断手法で異常発生位置の推定を行ったところ,同定結果の平均値は従来と同様,十分正確であることがわかった.特徴的なことは,そのばらつきが非常に小さく,実際に適用する場合は非常に信頼性が向上することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆問題のためのモード解析法の構築,仮想的に測定点を増加させる方法,およびそれを利用した異常診断について理論的な構築が完了し,実測データを用いた検証も完了した.ただし異常原因は一つであり,診断対象は単純なはりである.異常原因が複数ある場合への展開は理論的な構築は完了している.またH25, 26年度で診断対象を二次元的構造物,空間構造物へ適用することになっており,その準備も既に進んでいるので,計画通りに進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究を進める. 初めに,異常原因が複数ある場合の診断方法を数値的および実験的に検証する.この研究課題は,近年注目されている外力の伝達経路解析(TPA)にも強く関係する. 次に,これまでに提案した手法を平面構造物(二次元的構造物),空間構造物(三次元構造物)に適用し,最後に結果の総括を行う.そして,これまでに構築した,外力同定を援用した機械・構造物の異常診断手法の大規模複雑構造物への展開過程で生じる諸課題の解決手段の完成度,診断精度,適用性などを総合的に検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に現在とは異なる診断対象機械の構築を進めたが,最終的な完成に至っておらず,完成のための材料費がH26年度使用額となった. 診断対象機械を完成させ,もし必要となれば追加のセンサーを購入することで,当初の計画通りに研究を進めることができる.
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