【平成26年度に実施した研究の成果】 少ない測定点のデータから仮想的に測定点数を増加させる方法を構築し,数値シミュレーションで妥当性を確認したので,初めに実験によって実際への適用性を検証した.そのため種々の構造物の基本部材である,単純なはり構造物を対象とした実験装置を構築した.具体的には中央付近を導電式加振器でランダム加振し,4つのセンサーで加速度を計測した.正常状態と,重りを付加した異常状態の測定を行い,その差から重りの付加位置を同定した.測定データを4つのみ用いる従来手法と,仮想的に増加させる提案手法による同定結果を比較したところ,数値シミュレーションほどばらつきは小さくなかったが,精度の良い同定結果を得ることができた.更に,提案した手法を板構造物に適用した.ここではこれまでに提案してきた手法を改良し,内力同定を行うこととした.数値シミュレーションと,実験による検証を行った.その結果,内力同定が精度良く行えることが確認され,内力の作用位置を見落とした場合の検証方法も確立することができた. 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 (A) 逆問題のためのモード解析法及び仮想的に測定点を増加させる方法の構築:実測の振動振幅と数学モデルによる振動振幅の比率を利用することで,測定されていない場所の振動振幅が精度良く再現できることがわかった. (B) 外力同定を利用した異常診断手法の改良:仮想的に測定データを増加させることで,数値シミュレーションにおいては,従来手法よりもばらつきの少ない同定結果を得ることができた.実験的には従来手法よりややばらつきの小さな同定結果を得ることができた. (C) 内力同定を利用した異常診断手法の構築:複雑な構造物に対して,精度良く内力同定を行う手法を構築するとともに,内力の作用位置を見落とした場合の検証方法を確立した.
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