研究課題/領域番号 |
24560262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
盆子原 康博 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10294886)
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研究分担者 |
近藤 孝広 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80136522)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非線形振動 / 自励振動 / 自己同期現象 / 振動制御 / 建設機械 / 衝突振動 / シューティング法 / 安定判別 |
研究概要 |
本研究では,手持ち可搬振動工具における手腕振動問題を抜本的に解決するために,手腕振動の低減化と工具の機能とを同時実現するための同期振動発生機構の開発を目的とする.本年度は,先行研究において振動ランマへの応用に向けて開発された同期振動発生機構の試作機を対象として,砂の締め固め試験を実施するとともに,試作機の有効性について実験と数値計算の両面から検証を行った. まず,試作機を砂上に設置して締め固め試験を実施したところ,先行研究で確認されていた最適な同期振動と同様の振動パターンが発生した.しかしながら,把持部の振動加速度が大きく,十分な振動低減効果が得られなかった.そこで,数値計算によるパラメータスタディを実施し,振動子を搭載するブロックばね系の振動特性の最適化を図った.その結果,最適な振動パターンの特徴や広い発生領域を維持したまま,把持部の振動加速度を十分低減することに成功した.さらに,厚生労働省が示した手腕振動ばく露量の評価値である日振動ばく露量の測定を行った結果,日振動ばく露量が限界値や対策値を十分に下回ることが確認された. 次に,上述の研究成果を踏まえて,次年度に計画していた電動ハンマへの応用に向けた同期振動発生機構の開発を実施した.検討の第一段階として,ピストンクランク機構と電動機とからなる振動子を2個搭載した基本モデル(2振動子衝突モデル)を提案し,数値計算により発生する同期振動について調べた.その結果,把持部の制振と打撃部の励振とを同時実現し得る同期解の存在を確認した.また,一般的な電動ハンマの機構に基づいた1振動子衝突モデルとの比較を行った結果,2振動子衝突モデルは1振動子衝突モデルに比べて,静荷重が作用する場合や破砕対象物の剛性が変化する場合でも広い範囲に最適な同期解が存在し得ることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
振動ランマへの応用に向けた同期振動発生機構に関する検討では,研究目的の一つである把持部の振動を従来よりも大きく低減することができ,砂の締め固めにも成功した.とくに,日振動ばく露量が対策値以下に抑えることが達成できた意義は大きいといえる.なお,上述の検討を実施するために「音響振動解析システム」を導入したことにより,手腕振動ばく露量を定量的に評価することが容易となった.一方,当初計画していた打撃力の測定についてはまだ十分に行えておらず,試作機の打撃性能を定量的に評価することができなかった.この点については今後の課題である. 次に,電動ハンマへの応用に向けた同期振動発生機構の開発について先行して実施した.まず,基本モデルの提案,ならびに定常周期解(自己同期解)を求めるための数値解析プログラムの開発に着手し,高精度な解析が実施できる環境を整備した.そして,基本モデルの段階ではあるが,提案した同期振動発生機構の優位性を確認することができた.次年度は,この検討で得られた知見に基づいて実験装置の設計および製作を直ちに実施することが可能である. 以上の理由により,本研究はほぼ当初の計画通り進展しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では,本年度までに達成できなかった研究項目を継続的に実施し,目標が達成された研究項目についてはより一層深化させて同期振動発生機構の実用性と信頼性の向上に努める.具体的な実施内容は次の通りである. まず,振動ランマに関する研究では,「衝撃用ロードセル」を利用して打撃力を精度よく測定するための実験方法について検討を行い,試作機の打撃力に関する定量的な性能評価を行う.もし,所期の性能が達成されなかった場合には,機構を変更することも含めて再検討する.また,稼働時において打撃しながら試作機の移動がスムーズに行えるようにするため,打撃板の形状などについても検討を行う. 一方,電動ハンマに関する研究では,本年度の研究において検討した1振動子衝突モデルと2振動子衝突モデルの実験装置の設計および製作を行い,実験と数値計算の両面から本年度得られた結果の妥当性について検証する.さらに,2振動子衝突モデルの有効性が確認された場合には,その機構を基にして手持ち型実験装置の試作機を開発する.そして,振動ランマの場合と同様にして,日振動ばく露量の測定や打撃力の測定を実施し,開発した試作機の性能を定量的に評価する. 以上の2種類のモデルに対する検討を通して,自己同期現象の特性を最大限活用した同期振動発生機構の合理的な最適設計法の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の所要額に対して残金が生じた理由は,実験装置製作費用ならびに旅費として充てた費用が当初の計画より少なくなったためである.この残金は,次年度において同様の目的で使用する予定である.本研究課題では,研究の進展に準じて実験装置の改良や新規に製作を行うことが必要となる.このため次年度では,必要な鋼材や電子部品等を購入するための物品費を申請している.なお,実験装置の大部分は当該大学保有の工作室で自作する予定であるが,自作が困難な場合には,部品の加工を外注することも検討する予定である.また,研究代表者および研究分担者が本研究課題に関して学会等で研究成果発表を行うために,旅費を申請している.
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