研究課題/領域番号 |
24560262
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
盆子原 康博 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10294886)
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研究分担者 |
近藤 孝広 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80136522)
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キーワード | 非線形振動 / 自励振動 / 自己同期現象 / 振動制御 / 建設機械 / 衝突振動 / シューティング法 / 安定判別 |
研究概要 |
本研究では,手腕振動障害の発症要因である手持ち振動工具の把持部に生じる振動の低減化を実現するため,自己同期現象を利用した新しい機構の開発を目指している.本年度は,昨年度の研究に引き続き,振動ランマおよび電動ハンマへの応用に向けて開発した同期振動発生機構の有効性について,実験と数値計算の両面から検討を行った. まず,振動ランマに関する研究では,昨年度製作した試作機を対象として,数値計算結果に基づいて系パラメータの最適化を図るとともに,砂の締め固め試験を実施して,振動低減効果の検証を行った.その結果,昨年度よりも把持部の振動加速度レベルが減少し,手腕振動の評価値である日振動ばく露量を更に低減することに成功した.また,試作機の打撃性能について検証するため,衝撃用ロードセルを用いた試験台の試作を行った.まだ検討段階ではあるが,試行実験において打撃力を定量的に測定できることが確認された. 一方,電動ハンマに関する研究では,昨年度開発した1振動子衝突モデルと2振動子衝突モデルを対象として検討を行った.まず,昨年度に得た解析的知見の妥当性について検証するために,両モデルの実験装置を製作した.また,解析モデルや基礎式等について再検討を行い,数値計算プログラムを修正した.その結果,数値計算結果の精度が向上し,実験結果と数値計算結果とが定量的に一致することを確認した.さらに,1振動子衝突モデルに比べて,同期振動を利用した2振動子衝突モデルでは把持部の振動低減効果が非常に大きく,最適な同期振動の発生領域も比較的広く存在していることが実験によって実証された.以上のように,2振動子衝突モデルの有用性が確認されたことから,電動ハンマの手持ち型実験装置を開発する見通しを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初は,研究代表者が所属機関を変更したために,実験装置や実験環境を新たに構築することに時間を要した.しかし,共同研究者の協力のもと,予定より早く準備が完了し,支障なく継続課題の研究を遂行することができた.とくに,振動ランマに関する研究では,昨年度製作した試作機の改良を行い,把持部の振動加速度レベルを更に低減させることに成功した.これにより,把持部の制振については,十分に実用的なレベルまで達成できているものと考える.また,試作機の打撃性能について検証するために,衝撃用ロードセルを用いた打撃力測定試験台を試作した.まだ,検討段階ではあるが,一部では十分妥当な測定結果が得られており,日振動ばく露量と打撃性能とを同時に評価できる実験環境が整備されつつある状況にある. 一方,電動ハンマに関する研究では,1振動子衝突モデルと2振動子衝突モデルの実験装置の製作を行い,実験結果と数値計算結果の定量的な一致を確認した.また,昨年度の解析的検討によって明らかにした2振動子衝突モデルの有用性を実験によって実証することができた.次年度は,これらの検討で得られた知見に基づいて,電動ハンマへの応用に向けた手持ち型実験装置の開発を直ちに実施することが可能である. 以上の理由により,本研究はほぼ当初の計画通り進展しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では,本年度までに達成できなかった研究項目を継続的に実施し,目標が達成された研究項目についてはより一層深化させて同期振動発生機構の実用性と信頼性の向上に努める.具体的な実施内容は次の通りである. まず,振動ランマに関する研究では,打撃力測定試験台の開発を完了させ,試作機の打撃力に関する定量的な性能評価を実施する.もし,所期の性能が達成されなかった場合には,機構を変更することも含めて再検討する.また,稼働時において打撃しながら試作機の移動がスムーズに行えるようにするため,打撃板の形状などについても検討を行う. 一方,電動ハンマに関する研究では,本年度の研究において製作した1振動子衝突モデルと2振動子衝突モデルの実験装置を用いて引き続き検討を行い,更なる性能向上を図る.さらに,2振動子衝突モデルの有用性が十分に確認された段階で,その機構に基づいた手持ち型実験装置の試作機を開発する.そして,振動ランマの場合と同様にして,日振動ばく露量や打撃力の測定を実施し,開発した試作機の性能を定量的に評価する. 以上の2種類の手持ち振動工具に対する検討を通して,自己同期現象の特性を最大限活用した同期振動発生機構の合理的な最適設計法の確立を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の所要額に対して残金が生じた理由は,実験装置製作費用ならびに旅費として充てた費用が当初の計画より少なくなったためである.また,昨年度の残金分が本年度研究費に加算されたことも理由として挙げられる. 本研究課題では,研究の進展に準じて実験装置の改良や新規に製作を行うことが必要となる.とくに,次年度は,振動ランマの実規模モデルや,電動ハンマの手持ち型実験装置を製作する予定である.このようなことから,次年度は,必要な鋼材や電子部品等を購入するための物品費を申請している.なお,実験装置の大部分は当該大学内に設置されているものづくりセンターに依頼して加工および製作する予定である.また,研究代表者および研究分担者が本研究課題に関して学会等で研究成果発表を行うために,旅費を申請している.
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