研究課題/領域番号 |
24560265
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
小森 望充 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30195870)
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キーワード | 磁気浮上 / 機械力学 / 計測制御 / 低温工学 / 超電導浮上 / 永久電流 |
研究概要 |
<<熱永久電流スイッチの作製>> 永久電流スイッチは,局所的に加熱された超電導体部を常電導化して,永久電流を遮断するものである。永久電流スイッチにはGaBCO超電導線を用いた。また,BSCCO超電導線も検討した。超電導線の加熱にはマンガニン線を用いた。計算ではマンガニン線100cm程度で加熱時数W程度の発熱量がある。この永久電流スイッチを用いることによって,永久電流でコイルを励磁することができる。永久電流スイッチの電源は30V程度で十分であるが,コイル側の電流源には200A以上の電源容量が必要である。シャント抵抗(0.1Ω以下)で,流れる電流の大きさを測定した。その結果,20A程度の電流のスイッチングが出来ることを確認した。回路の保護抵抗は,超電導コイルに蓄積された電流エネルギーを消費するために設定した。この抵抗の必要性を現時点では感じていないが,大きな電流の短絡時などに機能すると思われる。 <<永久電流の評価>> 作製した永久電流スイッチと超電導コイルを用いて永久電流の評価を行った。永久電流から発生する磁束密度を測定することによって,永久電流の評価を行った。また,発生する磁束密度の大きさによって,元来発生するはずの磁束密度が得られない場合があると考えている。実験結果から,20A程度の永久電流を生成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
永久電流スイッチにはGaBCO超電導線およびBSCCO超電導線を検討した。結果的には,コイル線材と同様のBSCCO超電導線を永久電流スイッチに用いることができたのは幸いであったが,流せる電流は設備の関係上20A程度と十分とは言えないものとなった。 作製した永久電流スイッチと超電導コイルを用いて永久電流の評価を行った。永久電流から発生する磁束密度を測定することによって,永久電流の評価を行った。結果的には,超電導コイルに流れる電流の推定が十分な精度で行えていないことが分かった。今後,実験を進める上で,精度良く推定できるようにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
電磁石によるブリキの地球儀の浮上実験を行ったことがあり,最終年度の今年度は,地球儀と地球儀上部の電磁石のギャップを制御することにより実現できる浮上システムを構成する。永久電流で超電導コイルを励磁すれば,磁気浮上に必要な定常的な浮上力を得ることができる。その基礎的な資料を得るため,永久電流で励磁されたコイルと永久磁石間の反発力(吸引力)の基礎データを得る。次に,磁気浮上系への超電導コイルの置き換えを検討し,その問題点などを明らかにする。最終的には,永久電流を用いて,浮上体の高ギャップ磁気浮上を試みる。
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