研究課題/領域番号 |
24560267
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
吉村 卓也 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50220736)
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キーワード | 感度解析 / 剛性付加 / 減衰のモデル化 / 実稼働状態 / 振動騒音低減 / 実験モード解析 |
研究概要 |
1.剛性付加感度解析の検討 構造のどこかに補強を加えて振動低減を図る時,どこに補強を加えるべきかを検討する方法が,剛性付加感度解析である.質量付加に比べ,剛性付加は質量増加を前提としないため,構造変更手法としては好まれる.そこで,今年度は剛性付加感度解析の実施上の問題点を検討した. 補剛方法として,例えば構造物のある部分の板厚を増加させる場合,ある領域の曲げ剛性が増加することになり,これは相対的な曲げ変形に対する剛性付加として捉える必要がある.そこで,今年の実施においては,曲げ剛性の補強に対する感度解析を容易に実施するため,曲げ剛性を2点の面外方向の相対並進成分に対する剛性付加と近似して感度解析を実施する方法を検討した.具体的にはオートバイのクランクケースの放射音低減を対象とし,対象周波数領域の振動低減のための感度解析を実施した.振動低減の効果を確認できた領域と,曲げ剛性を並進成分の剛性に置き換える精度の問題があることも分かり,継続的に検討する予定である. 2.付加減衰のモデル化方法の検討 曲げ振動を主体とする構造振動に対して,減衰要素を付加して構造対策を図る場合,減衰要素をなるべく簡便にモデル化し,その特性変化による応答変化を予測する.すなわち,減衰付加感度解析を実構造物に実施するための問題点である,減衰の簡易なモデル化方法に関する基礎検討を行った.曲げ振動に対する減衰付加の感度解析を可能にするために,曲げによる減衰を蝶番型の減衰要素と捉え,実験的にモデル化する方法を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は放射音低減のための,実稼働感度解析として,剛性感度と減衰感度に関わる研究を進めた.曲げ剛性感度を並進自由度の剛性感度に近似する点については,予測精度に限界があることも明らかになったため,この精度限界をどのように判断するかが重要であると考えている.減衰感度解析については,曲げ振動における減衰要素のモデル化が広い周波数範囲においては困難な点も明らかになったため,減衰感度については,並進自由度に絞って検討を進める方向で検討している.これらは概ね想定した進捗状況である.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,継続課題の検討と研究まとめとして,感度解析の実構造物への適用を視野に入れて,研究を実施する予定である.放射音低減の例においては,効果的な剛性付加領域を絞り込むための適切な方法を引き続き検討する. 全体の検討の中で,例えば質量付加感度が構造物のどのような特性に起因してその結果を示しているか,すなわち,動特性と感度の関係についても考察を進める予定にしている.
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次年度の研究費の使用計画 |
計測実験を企業の協力により実施できる見込みができたため,それに見込んでいた費用を今年度に使用することにしたため. 機械の実働実験に基づく計測実験及び構造変更の感度解析を実施する.
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