研究課題/領域番号 |
24560268
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
西山 修二 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10448798)
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研究分担者 |
大田 慎一郎 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (90550393)
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キーワード | 機械力学・制御 / ねじの軸力制御 / ねじ締結体 / 物理機能モデル |
研究概要 |
ねじ締結体の軸力を許容範囲の最小値から最大値まで変化させた場合に締結部の振動特性を定量的に把握できるモデルを探索し確定した。そして、仮想試験用モデル構築ツールを用いて、解析システムを開発し、実験的にパラメータの同定を行なった。 軸力がねじ締結部に及ぼす影響を解明するために、2枚の平板をねじで締結した場合の弾塑性変形を明らかにした。さらに、接触面の摩擦力に影響を及ぼしている要因を解明した。主要因の選定とエネルギー流れの解明として、振動特性を把握するために必要となる主要因を解明した。軸力の増減に伴ってねじ締結体近傍のエネルギー流れを解明した。モデル化と解析システムの開発およびパラメータの同定として、ねじ締結体のモデル化は、本研究では軸力を制御することから、ばね、ダンパー、さらに接触面の非線形特性を考慮した摩擦力と塑性変形を新たに考慮し、機能モデルを適用してモデル化を行なった。 複数のねじ締結体から構成された、構造物の軸力を個々に制御して、加工または組立困難と考えられる構造物が有する振動特性と一致した特性を示すためには、基本構造体のねじ締結部の軸力をどのように最適化すればよいか探索した。構造体として、基本構造体と任意の断面が取り付け部から先端に直線的に増加する場合、あるいは減少する場合、2次元的に中央部で最大になる場合、あるいは最小になる場合の4種の等価構造体を考慮した。 基本構造体に関する実測結果を得るために、複数個の軸力制御可能なねじ締結体を使用して、複数枚の平板を締結した構造物を設計・製作した。平板の接触面あらさは構造物の振動特性に影響を及ぼすことが知られているので、仕上げ面を配慮し設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軸力制御可能な新規ねじ締結体の基礎研究から産業応用へと展開するために、本研究計画では以下の研究項目を計画している。 ①軸力制御可能な新規ねじ締結体のモデル化と解析システムの開発及びパラメータの同定を行う。②新規ねじ締結体の軸力制御により形状が異なる種々の構造物と一致する振動特性への最適化を行う。③新規ねじ締結体の軸力を能動制御して構造物の振動特性のコントロールを行う。④新規ねじ締結体を含む複雑構造物への展開と振動特性の解明・制御について研究する。 平成25年度は①および②の高精度化および③が完了した。従って、現在までの達成度は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新規ねじ締結体の軸力制御により形状が異なる種々の構造物と一致する振動特性への最適化の解明として、 構造体として、基本構造体と任意の断面が取り付け部から先端に直線的に増加する場合、あるいは減少する場合、2次元的に中央部で最大になる場合、あるいは最小になる場合の4種の等価構造体を考慮する。複数のねじ締結部を有する実験用構造物の設計・製作する。試験片として試作した4種の等価構造体の振動特性を実験的に解明する。各試験片を加速度計測装置により振動特性を計測する。4種の等価構造体が有する振動特性と一致した特性を示すためには、基本構造体のねじ締結部の軸力をどのように最適化すればよいか軸力制御法を探索する。本計画で研究開発する解析システムにより、上記4種の等価構造体と一致する振動特性を示すためには、基本構造体のそれぞれのねじ締結体の軸力をいかに最適化すればよいか探索する。次に、軸力を能動制御して構造物の変位が常に最小となるように、軸力を能動制御する手法を探索する。新規ねじ締結体による軸力の能動制御の探索と機能解析に関する理論的研究、新規ねじ締結体による軸力の能動制御の探索と機能解析に関する実験的研究を実施する。さらに、自動車用シート開発において、シートフレームの振動特性は課題が多い。従って、複雑構造物として、人体に優しい自動車用シートフレームの開発について解明する。自動車用シートフレームに対して、使用されている複数本のねじ締結体の軸力を適切に設定し、振動特性を実測する。本課題で研究した解析システムを自動車用シートフレームに適用し、最適設計への実用性について探索し検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
特許出願費用を計上していたものが未使用であるため。国際会議出席費用を国内で開催された国際会議に出席したため。 次年度に特許出願の予定をしている。さらに、次年度に、アメリカ合衆国で開催される国際会議に参加し、研究成果を国際的に普及する計画である。
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