研究課題/領域番号 |
24560269
|
研究機関 | 千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
小田 尚樹 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 教授 (70305960)
|
キーワード | 二足歩行ロボット / 安定化制御 / ZMP / ビジュアルフィードバック制御 / オプティカルフロー |
研究概要 |
本研究は,視空間環境情報と二足歩行ロボットの運動制御情報を積極的に関係づけることで信頼性の高い歩行運動制御を目指すものであり,従来の力センサや内界センサ主体のセンシングに対して,ロボットに搭載した視野前方のカメラ画像情報を動的バランスの制御に利用する。 前年度までに二足ロボットの代表的安定指標であるゼロモーメントポイント(ZMP)を視野画像から推定する方法を示してきたが,平成25年度の前半までに,従来手法における足部に内蔵する力センサで検出されるZMPと,提案手法による画像情報ベースのZMPの推定精度に関する比較検証を行った。その結果,垂直方向の加速度運動が小さい場合には,十分な精度で推定できることを確認した。 次に,本アプローチの優位性を検証するために,歩行時の足裏と床環境との接地性能に関する理論的な検討と実験評価を行った。従来手法による力センサに基づくZMP検出においては,転倒動作を開始して足裏がエッジ回りに浮き始めた不安定な状態では,ZMPがエッジにとどまり変化しなくなる。どの程度浮いて不安定なのかは,その他のセンサ情報が必要となる。それに対して,視覚画像情報をベースとした提案手法では,ZMPの検出のみならず,足裏がエッジ回りに浮いた角度を推定できることを理論的に明らかにした。この特徴により,浮き始めたような状態であっても継続的な姿勢修正が可能であるため,足裏と床環境との接地性の向上に寄与する。力センサのみの場合と視覚画像ベースの歩行時の比較実験を行い,その優位性を確認した。 また,不整地環境への応用の最初の試みとして,歩行中に未知の段差に乗り上げた場合に提案手法が対応可能であるのか検討を行った。カメラをステレオビジョンへと拡張する一方,段差へ対応するための制御手法の改善,および画像情報を主に用いて段差への接地角度の推定が可能であることを基礎的な実験で確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,当初の計画通り,従来手法の力センサを用いた場合と視空間環境情報を用いた方法を統合的に評価できる実機実験環境を構築した。実験検証では,本研究のアプローチにおいて,足裏がエッジ回りに浮いたとしても,その浮いた角度を推定できるという新たな知見も得られた。合わせて,カメラをステレオビジョンシステムへと拡張し,各種の視覚ベースの環境情報が利用できる実験環境を整備することができた。以上より,順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通りに本研究を進める。平成25年度までに得られた結果を基にして,視空間環境情報と統合した歩行モーション制御系の実機検証を行い,視空間情報とより一層統合した系へと展開していく。二足歩行ロボットの研究において,多様な歩行環境へ柔軟的に対応して,信頼性を高めることが重要な課題である。視空間環境との統合を目指す本研究アプローチの応用により,視覚情報主体の機能的な歩行運動を検証する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の実機ハードウェア環境の改善に要する物品費として使用するため。 当初の計画通りに使用して進める。実機ハードウェア環境,及びビジョンシステムの改善に関わる費用,国内外で成果を発表するための費用に使用する計画である。
|