研究課題
本研究は,視空間環境情報を二足歩行ロボットの運動制御情報と統合することで,信頼性の高い歩行運動制御の実現を目指すものであり,本年度はこれまでの平成24年度および25年度までに得られた成果を,歩行環境へ柔軟的に対応するために応用した制御系を検証した。第1の成果は,不整地環境への応用である。歩行中に未知の段差等に乗り上げる場合などに対応するために視空間環境情報を活用した制御方法の提案を行った。その中では,着地脚を柔軟に接地させるためにインピーンダンス制御を導入し,脚平の着地と同時に視野環境中で認識された物体位置を活用することで,脚平の床面への接地角度を着地毎に推定できることを示した。さらに着地後の視空間上の物体位置の変位を利用して安定に接地状態を維持するための制御手法を提案し,それらの有効性を実機による実験検証によって確認した。第2の成果は,安定化制御への応用である。二足歩行ロボットの安定性評価指標としてゼロモーメントポイント(ZMP)が代表的な指標である。脚平の接地面上に定義される点であり,力センサから検出される床反力から通常算出される。しかしながら,転倒動作に至る過程の,足裏がエッジ回りに回転して浮き始めた状態についてはZMPだけで評価することができず,合わせて加速度センサやジャイロセンサが必要となる。それに対して,視空間上の環境情報と関係づけることで,回転して浮き始めた状態を浮き角度として推定できることを示し,更にその推定値を用いることで,不安定状態を抑制するためのロボット上体運動を生成するための制御方法を提案した。外的な力に対して安定的に脚平の接地状態を維持する効果の向上が期待され,その有効性を実機実験によって確認した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件)
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