研究課題/領域番号 |
24560271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
趙 希禄 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (30610307)
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研究分担者 |
萩原 一郎 明治大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50282843)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換・中国 |
研究概要 |
(1)大規模な複雑形状の実物から正確にCADデータを作成するため、リバースエンジニアリング(RE)の高度化を行った。従来より異なる角度から撮った点群データを自動位置合わせを行う際に特徴線ベースで行うのは一般的になっているが、本研究の研究結果により、特徴線の代りに自動分割した曲面単位で自動位置合わせを行うことが可能となり、今までの自動位置合わせ方法より精度と効率が大幅に向上することができた。 (2)本研究の実施に必須となる実験モード解析に用いられる振動特性計測装置の構築を行い、計測センサーより信号を検出して、FFTアナライザー(DS-3000)で振動信号を解析して、それから固有モードや周波数応答などの計測結果を出力するまで一連の振動計測システムが確立しており、次年度以降の研究展開に非常に有利な振動実験による研究・検証基盤が用意できた。 (3)本研究の振動解析手法においては、構造変更後の振動特性を再解析する際に用いられる補正付き摂動法の汎用化を中心に研究を行い、主な改善点は2点挙げられる。まず、従来の補正付き摂動法に類似な補正ベクトルを省く方法を追加することにより、固有値解析および振動応答解析の計算安定性が向上することが確認できた。次に、構造の変更量を考慮せずに補正ベクトルを算出する手法を考案し、しきい値を適切に設定することによって、構造変更量を考慮した時と変らない解析精度が得られることを確認できた。通常、振動解析にかかる計算時間はほぼ構造自由度の2乗のオーダーで増加するから、大規模構造モデルにおいては変更量を考慮しない効果は顕著に現れることが考えられる。これらの解析手法に対して行った改善によって、従来の補正付き摂動法より計算効率を向上すると同時に、次年度以降に展開する大刻み幅の最適化手法の開発のために有利な基礎研究成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)異なる視点から計測された点群データの自動位置合わせ技術を利用したリバースエンジニアリング技術の高度化を実現するために、通常に用いられる特徴線の代りに分割した曲面単位で自動位置合わせを行うことができて、当初の研究計画より一歩前進したと考えられる。 (2)本研究に使われる最も重要な振動実験の主な計測装置が全て購入済みであり、振動計測システムの構築もほぼ完成しており、次年度以降の研究展開に有利な実験条件が揃えている。 (3)補正付き摂動法の改良と汎用化は本研究の初年度の研究の中に最も重要な理論研究課題であり、これに対して、研究実績の概要に挙げた2つの改善を行った結果、改良した補正付き摂動法の解析精度、計算効率と安定性がそれぞれ向上することができ、次年度以降に展開する本研究の中心課題である大刻み幅の最適化手法の開発に有利な条件が与えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)継続してリバースエンジニアリングの高度化を行い、またそれを利用した振動解析用のメッシュ生成システムの構築を進める。 (2)本研究に使われる振動実験システムを完成して、実際の構造実験モード解析の検討を進める。 (3)音響・構造の連成振動効果を検討するための専用実験装置を構築する。 (4)新しい音振動解析および最適設計システムの構築を進める。 (5)実験および解析のシステム検証と総合評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)前年度に続き、振動実験システムを完成する。 (2)開発した振動実験装置を活用して、騒音・構造振動の連成効果を検証するための実験装置を構築する。
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