研究課題/領域番号 |
24560271
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
趙 希禄 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (30610307)
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研究分担者 |
萩原 一郎 明治大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50282843)
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キーワード | 国際情報交換・中国 |
研究概要 |
(1)大規模な複雑構造の音振動の解析精度と計算効率を向上するため、異なる角度から実物に対してCCDカメラで計測された3次元点群データの自動位置合わせ技術の高度化が実現できた。今年度では、従来より利用されている特徴線ベースの自動位置合わせ手法の代わり、独自に提案した実物表面の点群データを自動分割した曲面パッチ単位で新たに定義した特徴情報を用いる高速自動位置合わせ手法を開発し重ねた改良を行うことによって、従来の自動位置合わせ手法より大幅に計算効率を向上し、計算精度および安定性を改善されることが確認できた。 (2)高精度の実験モード解析システムを完成した。今年度では、DS-3000のFFTアナイライザーを主な振動計測機器として複雑な構造を研究対象とした振動実験モード解析システムを構築し、特に複雑な形状を持つ軽量化薄肉シェル構造の実験モード解析精度および安定性の低い問題が解決できた。 (3)構造変更後の振動特性を再解析する際に用いられる補正付き摂動法の適用範囲が小さく、解析精度と安定性が構造変更の大きさに依存する問題を解決した。従来の補正付き摂動法に対し提案した類似補正ベクトルを省く方法を適用することによって、固有値および振動応答の解析精度と計算効率を大幅に改善することができた。また構造の変更量が大きい場合、補正付き摂動法の解析精度と安定性が落ちる問題を解決するために、構造の変更量を考慮せずに新たな補正ベクトルを算出する手法を考案して、しきい値を適切に選択する改良方法などを適用することによって、大規模な複雑構造の音振動問題に対しても、構造変更量を考慮した時と変わらない解析精度と安定性能が得られることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)大規模な複雑形状を持つ構造物に対して異なる視点から計測し得られた表面形状の点群データをベースに自動位置合わせ技術の高度化を実現することによって、複雑な形状を持つ3次元構造物を研究対象とした高精度の自動位置合わせが可能となり、補正付き摂動法を用いた大刻みの構造変更に伴う大規模な複雑構造の音振動解析の効率化向上に向けて大きく前進した。 (2)高精度の実験モード解析システムを確立したことによって、次年度の研究展開に有利な実験検討および実験検証の研究条件を揃えている。 (3)本研究で最も重要な研究課題である実験モード解析をベースにした補正付き摂動法の改良と実用化に対して重ねた検討を行い、独自に提案した補正ベクトル算出法を用いたことによって、確実に補正付き摂動法の再解析精度、計算効率および安定性を向上することが実現できた。次年度に展開する大刻み幅の構造変更に対応できる音振動特性の最適設計システムの開発に最も重要な機能モジュールが備えられた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)継続して大規模な複雑形状を持つ構造物の表面点群データの自動位置合わせ手法の高度化を検討し、本研究の実験モード解析に必要な高品質リバースエンジニアリングと解析メッシュ自動生成システムを完成する。 (2)音振動の実験モード解析と改良した補正付き摂動法を組み合わせた振動特性の再解析技術を確立させた上で、大刻み幅の構造変更に対応できる振動特性最適化技術を開発する。 (3)実験モード解析と補正付き摂動法を利用した大刻み幅の構造変更に対応できる最適化システムの検証と総合評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
振動実験モード解析用の消耗品購入のために少し予算を残した。 振動実験モード解析用の消耗品購入に使う予定である。
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