研究課題/領域番号 |
24560272
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 昌宏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40256673)
|
キーワード | フラッタ / ウェブハンドリング / 非接触制振 |
研究概要 |
これまでに,フラッタ特性を調べるための実験装置を構築し,基本的なフラッタ特性と支配因子を明らかにした.実験により得られたフラッタ特性と支配因子を基に,フラッタの詳細な解析モデルを構築した.ここで,三次元流れの流体支配方程式には,非定常揚力面理論に基づくクスナの積分方程式を用いた.構造系である有限幅ウェブの面外振動は3次元的な複雑なモードとなるため有限要素法により離散化した弾性体要素モデルを用いた.これらの方程式を基礎として,ウェブの動きと連成した非定常空気力および流体構造連成方程式を導出した. さらに,構築した解析モデルおよび流体構造連成方程式を基礎とするフラッタ(安定性)解析を行った.支配無次元数である質量比とアスペクトを変化させて,フラッタ臨界流速およびフラッタが発生する条件を明らかにした.また,フラッタモードと流体圧力分布,およびウェブ表面上での流体力による仕事の分布であるエネルギ収支分布を調べ,フラッタの励振メカニズムを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究では(1)実験装置の設計・製作が完了し,基本的なフラッタ特性を調べる実験を実施した.(2)実験により基本的なフラッタ特性が明らかになった.(3)実験によりフラッタ現象を支配する因子を抽出し流体構造連成系の支配方程式を導出した.(4)フラッタ解析により,フラッタ臨界流速およびフラッタが発生する条件が明らかになった.(5)流体力による仕事の分布であるエネルギ収支分布,フラッタの励振メカニズムが明らかになった.これらの成果は,当初の計画で予定されたものであり,研究が計画通り進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでの研究で明らかになった励振メカニズムの知見を基に,アクティブ流動制御による非接触制振システムを構築し,その制振性能を評価する. アクティブ流動制御のために,ウェブ周りの空気の流れを制御して,エアフローティング搬送ウェブに発生するフラッタを非接触で抑止する新しい制振システムを構築する.制御実験では,流動制御アクチュエータの配置位置を変化させて,基礎的な制振特性およびフラッタの抑止に重要な制御パラメータを明らかにする.また,制御パラメータとしては,①センサで計測した振動変位から可動板の動きまでの位相,②コントローラゲイン(可動板の可動角度)を変化させて,これらのパラメータの制振特性への影響を明らかにする.詳細な制振メカニズムを解明するには,制御を行った場合の励振流体力の変化を測定する必要がある.このため,制御と同時にエアバー表面の圧力分布の時間変化も計測する.また,制振実験結果を基に重要な制御パラメータを抽出する. さらに,アクチュエータ動作による流動制御の効果を考慮した流体・構造連成解析モデルを構築し,その支配方程式を導出する.導出した支配方程式に基づく安定性解析により,上述した2つのパラメータ,①センサで計測した振動変位から可動板の動きまでの位相,②コントローラゲイン(可動板の可動角度)を変化させて制振特性を調べる.そして,実験結果と比較して理論解析結果の妥当性を検証すると共に制振効果を評価する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年度は,フラッタの励振メカニズムを明らかにし,それによって効果的なフラッタ制振のために必要な機能・機構の知見を得た.しかしながら,アクティブ制御のためのアクチュエータの試作,および実験装置を改良するには至らず,そのための研究費は次年度へ繰り越しとなった. 2014年度は,アクティブ制御のためのアクチュエータの製作,および既存の実験装置を改良し,提案するアクティブ流動制御の制振性能を実験により評価する.また,得られた研究成果を発表する.
|