研究課題/領域番号 |
24560276
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
堀内 伸一郎 日本大学, 理工学部, 教授 (30181522)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / 制御系検証 / 車両運動制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,制御系の性能保証のための新しい解析的手法を開発し,実際的な非線形制御系への適用例からその有効性を評価することである.そのため,新たなアプローチとして区間解析手法を制御系の性能保証に適用し,性能低下が許容できるようなシステムパラメタの変動範囲を区間解析の逆問題として求める方法の開発を行った.このようなシステムパラメタの範囲が理論的に求まれば,その範囲内のパラメタ変動に対しては制御系の性能が保証できることになる. 逆問題を解く手法として,区間解析の逆問題をbisection法によって解くアルゴリズムを開発し,簡単な例題に適用してその有効性を検討した結果,開発したアルゴリズムはパラメタ数が多くなると指数関数的に計算時間が増加し,実際的な問題への適用は実用的ではないことが判明した. そこで,新たな方法として非線形システムの安定な平衡点から出発する逆時間トラジェクトリの終端値ノルムを最大化することにより,順時間システムの可制御領域を求めるアルゴリズムを考案し,この可制御領域の大きさで性能を保証する方法を考案した.この領域外からはいかなる入力を用いても安定な平衡点に復帰できないことが理論的に示せることから,この領域の大きさを制御系の性能を保証できる評価基準とすることができる. さらにこの手法を車両運動制御系の性能保証に適用し,種々の制御方式(使用する制御入力の組み合わせ)の性能比較を行った.その結果,前輪や後輪の舵角制御より左右輪のトルク差による直接モーメント制御が効果的であることを理論的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は研究代表者の体調不良による検査及び入院・手術により本研究の達成度がやや遅れているという結果になった.
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今後の研究の推進方策 |
【研究実績の概要】で述べたように,逆時間トラジェクトリにもとづく可制御領域の計算法が確立した.この方法は可制御領域の境界を,状態平面の安定平衡点(原点)を始点とするグリッド上でシステムの逆時間トラジェクトリの終端値ノルムを最大化する点として求めるという一種の最適化問題として解くものであり,非常に広い範囲のシステムに適用可能である. 当初の予定どおり,車両運動制御系の性能保証を目的として,種々の制御アルゴリズムの性能を本手法によって比較検討する.具体的には舵角制御のアルゴリズムとして前輪比例後輪操舵,ヨーレイト比例後輪操舵,横すべり角ゼロ化後輪操舵などの各種操舵アルゴリズムの性能比較,直接ヨーモーメント制御も横すべり角ゼロ化制御,ヨーレイトモデル追従制御などの各種制御アルゴリズムの性能比較を解析的・統一的な見地から行い,解析的に各制御則の限界性能を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の体調不良に伴う検査及び入院・手術により予定していたドイツでの研究動向調査および国際学会での発表を取りやめたため.外国旅費に充てる経費が未使用となった.平成27年2月には未使用分を期間延長して使用するため「補助事業期間延長承認申請書」を提出し,3月20日付で承認書を受領している.
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次年度使用額の使用計画 |
8月にオーストリアで開催される国際学会での発表が決定しており,そのための外国旅費として使用予定である.また昨年度取りやめたドイツでの動向調査を実施するための外国旅費として使用する.
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