振動抑制装置は(セミアクティブダンパ)は,振動制御時などにコンピュータ側から信号を送った時点から,その装置の機械的性質(例えばここでは減衰性能)が変わるまでに時間のずれが生じる.これを立ち上がり時間の遅れと言う.本研究では,この機械的な時間遅れの改善を目的として,係数励振を利用することで改善を図るものである.平成24年度より研究を開始した.まず,電磁抵抗型のセミアクティブダンパを設計し製作した.加えてリレー回路を用いたコントローラによって時間遅れの測定実験を行った.直流・交流モータなど種々のモータを試したがあまり改善傾向が見られなかった.そこで平成25年度は,電流制御器を用いて時間遅れの改善を試みた.まず,ダンパが目標通りの定常応答を実現するかを確かめ,次に等速度時における係数励振を用いた場合の時間遅れを測定した.また,比較のためにステップ入力時,オーバーシュート入力時などの場合も行った.これらの結果を理論づけるために,ダンパを1次遅れ系と見なして理論解析したものの,実験との整合性が合わなかった.そこで最終年度である平成26年度は,理論をさらに改善するために1次遅れ系から2次遅れ系に改め,その計算を行い,その妥当性を確かめた.
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