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2013 年度 実施状況報告書

移動ロボットの軽量化法と対地適応安定化のための機構と制御の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24560287
研究機関新潟大学

研究代表者

岡田 徳次  新潟大学, 自然科学系, フェロー (60194362)

キーワード知能機械 / メカトロニクス / 移動ロボット / 車いす / 有限要素法 / サスペンション
研究概要

車体基板として弾性素材を用い、かつ、基板に長穴を有する場合の荷重支持点における撓み量と基板上の最大応力をFEMにより解析するための基板構造モデルを二つ見出した。一つは、一箇所の着地圧が任意に変わる時に有効なモデルである。これは、ワールド座標系(X、Y、Z)の各軸正方向をそれぞれ基板の右横、前、上とする時、左右(X軸方向)への移動とX軸周りの回転を、また、前後(Y軸方向)への移動とY軸周りの回転をそれぞれ自由にする合計4DOFsのピボットで構成される。他の一つは、四箇所の着地圧が任意に変わる時のモデルであり、基板左右の剛部を二分する車体荷重の作用点を支点とし、支点を通るX軸方向周りに自由に回転するピボット関節を左右に備え、かつ、それぞれが軸方向への移動を可能にする合計4DOFsで構成される。
また、これらのモデルを使った解析結果が実測値に近似することを実証した。モデルは、基板の厚さや素材、長穴のサイズが異なる場合でも基板の撓み量や最大変形量を一意に算出し、多様な基板の特性把握を容易にした。この他、車いすの駆動機構を組み立て直し、前後脚を独立に駆動可能にした。
さらに、並行して、車輪外周から少なくても8本の短い足を同方向に伸ばし、車いすの利用者が必要に応じて一つのハンドルを手動で回すことにより全ての足の向きを同期させて同様に変更し、設定した向きの足の作用で滑り易い地面や軟弱地にあっては車輪の滑りや潜りを防止し、障害物のある路上にあっては乗り上げ、跨ぎ越え、あるいは突き押し、平坦地にあっては足を着地させない転がり移動、を通常の漕ぎ方で実現することを検討した。その結果、車いすの車体と左右の大輪間に足機構を装備し、従来の車いすの移動性能を飛躍的に向上させる試作品を開発し、対地適応能力をもつ高性能な車いす技術を顕在化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

車体基板として、縦700mm、横500mmの弾性基板に開ける長穴パターンの違いによりBR型、LL型、LW型の3種を厚さ2mmと3mmのアルミ材とステンレス材で製作し、この左右端を剛部とし、ここで駆動装置や搭乗人、その他を含む全荷重を受け、また、左右剛部上のそれぞれ2箇所で対地支持するものとして、基板の撓み量と最大応力を実測した。さらに、これらをFEMにより数値解析するためのピボット要素による4動作自由度数の基板構造モデルを見出した。一つは、一箇所の着地圧が任意に変わる時に有効なモデル、
他の一つは、四箇所の着地圧が任意に変わる時のモデルである。これらのモデルを使うことで、基板の厚さや素材、長穴のサイズが異なる場合でも基板の撓み量や最大変形量を一意に算出し、多様な基板の特性を把握可能にした。
この他、車いす(PEOPLER-IV)の駆動機構を組み立て直し、前後左右の車軸高さを変えて斜面上におけるロボット車体基板面を水平に制御し、搭乗者が自然で安定な姿勢を取り易くする制御に着手し、当初の計画を進め、予定した目標を達成した。

今後の研究の推進方策

車体基板の撓みと応力歪の解析に必要な基板構造モデルの検証、およびこれらを用いた形、厚さ、サイズ、素材等の異なる多様な基板のサスペンション特性の比較検討、その他、国際ロボット展への足つき車いすの出品、雪上での走行実験等、に多くの時間を費し、研究の進捗は遅れ気味であったが、その後、車いすの組み立て直しを行い、不整地への車輪と足の制御法に広がりを持たせることを可能にした。今後は、路面傾きの影響を受けて変化する車体傾きの低減方策を検討し、走行中に発生する前後、左右方向への傾きのみならず、上下方向への揺れをも小さくする車輪と足の協調制御アルゴリズムを開発していく。また、最終年度として、これまでの考察結果や研究成果を整理し報告書としてまとめる。

次年度の研究費の使用計画

実験と収集データの整理が次年度にまたがる事態になったため。
データの保存媒体と整理のための用品購入に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [学会発表] ロボットの軽量化に有効なサスペンションレス車体基板の設計2013

    • 著者名/発表者名
      岡田徳次、三村宣治、清水年美、和田博
    • 学会等名
      第31回日本ロボット学会学術講演会
    • 発表場所
      首都大学東京南大沢キャンパス
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] Hand manouevred wheelchair using wheels fitted with feet for enhanced mobility2013

    • 著者名/発表者名
      Tokuji Okada, Hiroshi Wada, Nobuharu Mimura, Toshimi Shimizu, koutarou Nagata
    • 学会等名
      16th International. Conference. on Climbing and Walking Robots (CLAWAR2013)
    • 発表場所
      Univ. of Technology, Sydney (Australia)
    • 年月日
      20130714-20130717
  • [図書] Nature-Inspired Mobile Robotics (ISBN 978-981-4525-52-7)2013

    • 著者名/発表者名
      K.J. Waldron, M.O. Tokhi, G.S. Virk
    • 総ページ数
      861(うち599-608を分担執筆)
    • 出版者
      World Scientific
  • [備考] Robotics & Mechatronics Laboratory 研究紹介

    • URL

      http://okada.eng.niigata-u.ac.jp

  • [産業財産権] Wheelchair provided with feet2014

    • 発明者名
      岡田徳次
    • 権利者名
      岡田徳次
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2012/070972
    • 出願年月日
      2014-02-26
    • 外国

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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