本研究では,市街地を含む交通環境下における自動車の自律的自動運転を目的とし,①複雑な車両周辺環境を車載センサによりロバストかつリアルタイムに認識し,②センサの精度・不確かさを考慮し,上記認識結果に基づき現在地から目的地まで自律的に走行可能な信頼性の高い走行軌道生成・誘導アルゴリズムについて研究を行うことで,安全安心かつ交通ルールに則って自律的に走行可能なディペンダビリティの高い次世代型自律自動運転システムの開発を行うことを目的とし,研究を実施した. 具体的には,①交差点部など車や歩行者が多数行き交う複雑環境下において静止物体と移動物体を分離する手法や,②移動物体の運動を精密に推定しその軌道を予測する技術を開発した.またこれらの認識結果を基に③自動運転自動車を自律的に走行させるパスプランニングアルゴリズムの開発を行った. そして,開発した認識アルゴリズム,パスプランニングアルゴリズムをステアリング,スロットル,ブレーキ,ウィンカー等がコンピュータ制御可能な乗用車型の実験車両に搭載し,主に市街地を想定したテストコースにおいて試験を行い,交差点などを含む多数の車が行き交う環境下において自然な自動運転を行うことが可能であることを確認した.また,これらの成果の一部は東京モーターショー2013やITS世界会議2013(いずれも東京ビッグサイトで実施)においてデモンストレーションを行い,大きな反響を受けた.また,2015年2月24日から日本の大学としては初となる多数の車や歩行者が行き交う市街地での公道実証実験も開始し,研究成果により実際の公道環境下においても自然な自動運転が可能であることを確認した.
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