研究課題/領域番号 |
24560289
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安達 正明 金沢大学, 機械工学系, 教授 (50212519)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 計測工学 / 3次元形状 / 波長走査 / 半導体レーザ / スペックル干渉 |
研究概要 |
波長可変レーザと光干渉光学系ならびに振動影響除去技術を用いて,「振動環境下でも使える電子基板上の部品群の高精度3次元形状計測(2次元カメラの各画素での光進行方向の距離計測)技術の開発」を行っている. このため平成24年度の前半には,購入した波長可変レーザ光源を単純化した干渉光学系に組込み,波長走査を用いた乱反射面までの距離計測実験を行った.この実験は導入した波長可変レーザ光源が距離計測用の干渉応用光学系で正しく動作すること,またその測定精度を確認するものであり,測定対象には外部からの振動が殆ど加わらないように工夫している. 一般に波長走査を用いた距離計測では,光路差を一定に維持した条件の下で波長走査に伴う干渉位相変化の総量から距離を計算する.このため外部振動は波長オーダーの振幅であっても位相変化が発生するので距離計測の精度を大きく低下させる.この振動影響を高精度に補正できる手法の開発がこの研究ではキーとなる. 振動影響の補正手法に関して幾つか解決案を持つが,その一つに関してシミュレーション実験をその後に行った.その結果,試した補正法がかなり有効と確認できた.振動影響を実際の実験機で正しく補正出来るようにするためには,振動の変位状態を高速高精度に抽出できる機能が要る.この機能実現のため,計測光学系にブルーレーザ光源と高速ラインカメラを組込みつつある.複雑な光学系となるため,迷光や不要反射光の除去が課題である.ブルーレーザ光源と高速ラインカメラを用いる振動変位状態の高速高精度計測には,干渉計の参照ミラー面を位置制御する必要も有る.ミラー面位置のピエゾ制御に向けた準備も実施中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.波長可変レーザ光源を導入し,ほぼ一定の波長変化速度で2nm以上の波長幅を走査できることを確認した. 2.乱反射紙面を対象にして組み上げた単純な距離計測光学系を用いて波長走査に伴う位相変化量の総和を求め,総和からほぼ正しく距離計測できることを確認した.すなわち測定対象物を捉えるカメラの各画素毎に独立して距離計測ができることを確認した. 3.波長走査を利用する距離計測法で重要な問題となる振動影響の補正法に関して,シミュレーション実験を行い,シミュレーションした補正法がかなり有効だと確認できた. 4.上記の距離計測光学系に,振動変位状態の高速高精度測定用のブルーレーザ光源と高速ラインカメラの組込を行いつつある.
|
今後の研究の推進方策 |
1.距離計測光学系に参照面のピエゾ制御機構を組込み,ブルーレーザ光源と高速ラインカメラを用いて計測対象面の振動変位状態を高速高精度に測定出来るようにする. 2.振動変位状態の高速高精度計測結果を基に,3次元形状計測光学系での振動影響を補正する機能を組み込み,その実機での動作を確認し,高精度計測を実現するための問題点を探ると同時にその問題点の解消に努め,振動影響補正機能をより確実なものとする.
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.迷光や不要反射光の除去を可能とする最適な光学素子を用いた光学系の性能向上 2.最適なデータ処理やミラー位置の電子制御を用いた,振動変位状態のより高速高精度な計測手法の確立
|