基板上の段差形状を持つ部品群の3次元形状を高精度計測するために,波長走査を用いた.そして微細な上下振動に対してその振動影響を受けにくい干渉像の位相分布測定法の開発を通して最終的に3次元形状を計算した.具体的には,最大振幅10μmのランダム上下振動環境下でレーザ光源の発振波長を778nmから780.2nmまでゆっくり変えながら,7種の特定波長付近で干渉像をそれぞれ20枚以上取込み,各波長域での最初の1枚目の干渉像の位相分布をその波長域での他の干渉像をも用いて抽出した. そして,波長のみが変わる時の位相変化量を計算し基準画素に対するカメラの各画素での光路差変化を抽出し,電子基板の3次元形状を得た.この方法での雑音の原因を追及し,雑音発生波長域でのデータ処理法を改良し,0.1mmの高さ分解能で3次元形状計測を可能とした.一方,電子基板を検査する場所ではかなり激しい空気擾乱も存在するとの情報を得て,干渉像の位相変化が撮影域の各局所域で大きく異なる条件を高温ヘアードライヤー風を測定面に吹き付け作り出した.この激しい空気擾乱下で,7種の特定波長付近で干渉像を35枚以上採り,3次元形状計測を試みた. その結果,シャッター時間を0.1msとして,干渉像を縦横に分割し位相シフト量の時間変化がほぼ同じ値となる50X50サイズの局所域100個を作り,そこで3次元形状を計算する方法にたどり着いた.得られた局所域での3次元形状を隣接する局所域と水平方向に貼り合わせて,全視野で3次元形状を計算する手法を試みた.この方法により,高温ドライヤー風を対象から30cm程度離して吹き付ける状態で波長走査を用いて3次元形状測定できることを,世界に先駆けて確認した.しかし,測定精度は空気擾乱が無い振動環境下での測定結果に比べて,かなり悪い.今後はこの原因追及とそれを改善する方法の研究を継続して進める予定である.
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