研究課題/領域番号 |
24560295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高岩 昌弘 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60243490)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 手首リハビリテーション / 空気圧駆動システム / パラレルマニピュレータ |
研究概要 |
平成24年度は,訓練したい筋肉を選択的かつ集中的に訓練するための訓練法として,これまでのトルクに基づく手法ではなく,筋電位センサーを導入した筋力そのものに基づく訓練手法を提案した.具体的には,従来より提案されている基本的なリハビリ動作である等速動作(遠心性収縮,向心性収縮),等張動作,等尺動作を,統一的に実施するために機械インピーダンス制御系を本マニピュレータに構築し,その効果を実験により検証した. 等速動作の遠心性収縮では,筋は収縮力を発生した状態で筋が伸張動作を行うというように運動と力の方向が逆となるような動作でも本手法においてインピーダンスパラメータの符号を変換することで対応可能であることを示した.また,等速動作の向心性収縮においては,まず,無負荷の状態での筋力と手首関節角度の関係(機械インピーダンス特性)を予め測定しておき,その機械インピーダンス特性を基準として,その基準値より大きな値を設定すると本装置は負荷装置として作用し,また,その基準値よりも小さな値に設定すると,本装置はパワーアシスト装置として機能することを実験的に示した.特にパワーアシストモードでは拘縮患者の可動域改善訓練などへの応用が考えられる.可動域改善訓練は従来は理学療法士が他動的に実施していたが,本手法では患者本人が発生した筋力を増幅して本装置が動作するため,患者の意思に基づいた動作が実施できるという特徴を有する. また,力センサーと筋電位センサーを併用することで,筋電位センサーを貼付していない筋肉に対しても訓練する手法を提案した.これにより,上腕部の深部に存在する筋肉に対しても負荷を設定するというような訓練を可能とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来より提案されている基本的なリハビリ動作である等速動作(遠心性収縮,向心性収縮),等張動作,等尺動作を,提案する筋力に基づく訓練手法により統一的に実施するという目標に対しては概ね達成できたと考える.一方,提案する手法の有用性の確認のため,県内の理学療法施設ならびに岡山大学医学部リハビリテーション教室における評価検証に関してはまだ実施できておらず今後の予定とする.
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今後の研究の推進方策 |
今後推進する研究内容として,患者の疲労度の評価と疲労に基づくリハビリ動作の調整機能を実現する.具体的には,筋電位信号の周波数解析に基づく患者の疲労度のリアルタイム評価と,疲労度に基づくリハビリ訓練動作の生成機能を支援装置に付与することを考える.また,理学療法士の教育効果向上を目的とする患者の物理モデルを実現する.これは本装置に患者の手首特性を実装することで,本装置を患者の物理モデルとして機能させ,これを用いた理学療法士のための訓練シミュレータを目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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