研究課題/領域番号 |
24560301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高田 洋吾 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70295682)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロボット |
研究概要 |
本研究では,自由遊泳している魚を,ロボットに取り付けられたカメラで捕捉しつつ,ロボットの自己位置推定により,捕捉した魚が存在した座標位置を調べることができる小型魚ロボットを開発することを目的として研究を推進した.平成24年度において,次の研究成果を得た. (1) 試作した魚ロボットFOCUSを用いて,色情報に基づく目標物追従制御を実施した.(2) 同じ魚ロボットを用いて,底面の映像に関してデジタル画像相関法に基づいて画像の変化(移動方向と移動距離)を算出して自己位置推定を実現させた.(3) 同じ魚ロボットの内部にジャイロセンサを一つ搭載させて,赤色の目標物を追従させながら,自己位置推定を実施して成功させた.ただし,自己位置推定については,底面が平らで,ロボットがピッチング運動,ローリング運動を行わない前提で得た限定的成功である.(4) カメラ画像に基づいてROVとして,遠隔制御も可能であることを確認した.(5) 魚ロボットの尾ひれの変形やロボット周りの流動解析が可能な流動構造連成解析プログラムが完成し,PIVによる実験結果と比較して,渦の発生位置など定性的一致を確認した. (6) その流動構造連成解析コードを用いて,尾ひれを駆動させる関節数は,1関節よりも2関節である方が,高速遊泳には適していることが判った.(7) 1関節用尾ひれは全体的に柔らかいものが良いのに対して,2関節用尾ひれについては,全体的にやや硬めで,関節部付近に少しだけ柔らかい部材が含まれている状態に作ると,ロボットが高速遊泳できるという解析結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作した魚ロボットFOCUSを用いて,色情報に基づく目標追従と,底面の映像に基づく自己位置推定について実現できた.ただし,迷彩色が付いた淡水魚は,金魚や鯉,産卵期のイトウなど限られているため,色情報よりも動作情報に基づく方が良いと考えて,現在研究を進めている.また,自己位置推定に関しては,慣性航法による方法と組み合すことが出来ていないので,今後取り組むことになる. PIVを用いた魚ロボットの流動計測と,流動構造連成解析を用いた魚ロボットの尾ひれ変形とその周囲の流動解析が可能な状態となり,様々な尾ひれを用いて,実験とコンピュータシミュレーションを実施した.生きた魚を追従するためには,魚ロボットの性能を高めることが必須となる中で,魚ロボットの尾ひれを駆動させる関節数が2関節であることが望ましいと判り,高速遊泳できるように魚ロボットの改良を進めることが出来た. 進捗状況については,自己位置推定に関して,やや宿題を次年度に回すことになったが,その他の面では良好に研究が進んでおり,おおむね順調であろうと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
魚ロボットの自己位置推定において,現状では,デジタル画像相関法に基づいて実施しているが,慣性航法とデジタル画像相関による方法の組み合わせを実施し,ピッチング運動とローリング運動に対応する.また,デジタル画像相関法に関しても,ステレオカメラによる新手法にもチャレンジする. 目標追従については,ロボットの高速遊泳と目標物捕捉能力の2つが必要である.色情報に基づく目標物追従は出来ているので,魚の尾ひれの周期的振動をカメラに捉えて,その方向にロボットが進むように試みる.そこで問題となるのは,ロボットの頭部揺動によって,カメラも一緒に揺れることである.方策として,頭部揺動に合わせてカメラの角度を制御し,目標物が画面中央に来るように制御する方法と,頭部の揺れが無い右端と左端の映像を組み合わせて目標物の位置を算出し,その方向にロボットを導く方法の2通りがある.後者の方法が容易であるため,先行研究し,この方法では目的が果たせない場合は前者の方法に切り替える. 魚ロボットの高速遊泳については,新規の魚ロボットを試作し直すことを検討している.今まではマグネットアクチュエータを用いた試作していたが,2関節駆動方式にしようと改良を試みると,ロボットがロール運動を起こしやすくなった.そこで,超小型DCブラシレスモータ1つを用いて2関節駆動できる魚ロボットを試作する.抗力抵抗係数CD値を極力下げて,前面投影面積を小さく作る. 小型魚ロボットFOCUSには,FPGAが搭載されている.今まで適切な商品が市販されていなかったため,FPGA素子を自分達で電子基板にはんだ付けしてきたが,近年,名刺サイズのパソコンや高性能超小型画像処理基板が市販されるようになってきた.これらを利用することも視野に入れて研究をなるべく効率良く進めようと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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