研究課題/領域番号 |
24560301
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高田 洋吾 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70295682)
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キーワード | ロボット |
研究概要 |
本研究では,自由遊泳している魚を,ロボットに取り付けられたカメラで捕捉しつつ,ロボットの自己位置推定により,捕捉した魚が存在した座標位置を調べることができる小型魚ロボットを開発することを目的として研究を推進している.平成25年度において,以下の研究成果を得た. (1) CFD(数値流体力学)を用いた解析により,推進効率の面で,関節数が1関節の場合は,尾ひれの素材がなるべく柔らかい方が良いのに対して,関節数が2関節の場合は,尾ひれ先端部の硬さが硬く尾ひれの付け根のみが柔らかい方が良いと判った.そして,2関節以上の方が遊泳能力が高いことも明確化できた.また,魚ロボット頭部の揺動はなるべく小さい方が推進能力および推進効率が良いことが判った.鯉やフナなどが遊泳するときに発生させている逆カルマン渦列を魚ロボットにも発生させつつ,頭部の動きを抑制できる尾ひれ推進システムが望まれる. (2) 魚ロボットの自己位置推定に関して,平成24年度に引き続いて,デジタル画像相関法(DIC)を用いて実施した.ジャイロセンサーを搭載して,魚ロボットが常に行っているヨーイング運動とローリング運動に対応するヨー角とロール角を測定して,DICの自己位置推定結果に補正したところ,推定精度が大きく向上した. (3) 今現在,目標追従については色情報(金魚や緋鯉と同じ赤で実施)に基づく方法のみ確立しているが,当該年度においては,目標物追従能力についても評価した.正面にターゲットがある場合は成功率100%で追従できるが,26度斜め前方の位置にターゲットを設置すると目標物を追従することは成功率0%であった.この理由はカメラの視野角内にターゲットが捉えられていないためである.また,22度斜め前方位置にターゲットを設置した場合は,実験スタート時における頭部揺動状態に成功率は依存していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,淡水魚調査が可能となりうる魚ロボットの開発を目的としており,2014年度末までにフレームプール内の生きた魚をロボットに追従させつつ,その魚の移動経路を記録することを実現したいと考え研究を推進している. 既に赤色の物体を追従可能な尾ひれ駆動型のロボットは存在している.生きた魚および人造ロボット共に,尾ひれが作り出す流動状態をPIV(粒子画像流速測定法)で計測が可能となっている.尾ひれの運動が水の流れに及ぼす影響について,CFD(数値流体力学)で計算可能な状態にあり,その数値解析結果により,尾ひれ駆動の関節数,尾ひれ素材,アクチュエータへの電力供給タイミングなど,徐々にではあるが明確化しつつある.また,ターゲットの魚の移動経路を記録するためには,ロポット自身が自分の位置を知っておく必要がある.水中ではGPSを用いることができず,また,湖,河,池の地形は入り組んでおり植物も多いことから音源定位でロボットの位置を知ることも難しいが,当該水域は浅いことが多いので,底面の模様に基づいたDIC(デジタル画像相関法)によって,ロボットは自分の位置を知ることができる. 2013年度の研究状況について,特にCFD解析とロボットの自己位置推定に関して研究した.CFD解析において,関節数は2関節以上,尾ひれの硬さは先端部はやや硬く,付け根近くは比較的柔らかいのが望ましいことが判った.頭部の揺動はなるべく小さい方が推進能力および推進効率が良いことが判った.また,自己位置推定については,DICのみで実施した場合と,DICとジャイロセンサーを併せて実施した場合について検討した.ヨーイング運動とローリング運動を絶えず行いながら推進する尾ひれ駆動式ロボットでは,ジャイロセンサーの補佐が有効になることが判った.以上の知見に基づき,最終年度に繋げる所存である.
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今後の研究の推進方策 |
3メートル×2メートルのフレームプールは既に入手済みであり,今後は金魚や緋鯉などをそのプールにいれて,今までに得られた知見に基づいて,生きた魚を追従しつつ遊泳経路を明確化できるかを探っていく.ただし,現在の魚ロボットの視野角は45度程度しかなく狭い.最近になってようやく視野の広い魚眼レンズ付きカメラから得られる画像をFPGAによって扱えるようになったので,そのカメラを搭載した魚ロボットを試作して実験できる日も近いと考える.まず,赤色の金魚,緋鯉で実験し,魚ロボットによる魚の撮影,撮影位置の推定を試みる.その後,色情報ではなく尾ひれの動きから魚を見つけ出す手段も試みる.
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