2014年度は,2013年度までで明らかとなったバケット内の土砂崩落挙動を利用し,所望の量の土砂を落下させるための手法を確立し,その効果を検証した。バケットをゆっくりと傾斜させ土砂を落下させる際には,バケット内の土砂は2種類の安息角,すなわち崩落が始まる傾斜角である限界安息角と崩落が終了する際の傾斜角である停止安息角を有し,一旦崩落が始まると,停止安息角まで崩落が継続する。ただし,土砂粒子間には,掬い取り時に発生した内力が存在しこれが崩落角に影響を及ぼす。そこでこの影響を調べるために,バケット側面を外した状態,更に板に土砂を載せただけの状態の2通りの実験を行い,安息角の計測を行った。その結果,限界安息角は側板の有無に大きく影響を受けるのに対し,停止安息角はほぼ同一の値となることが明らかとなった。よって,崩落させたい土砂量が予め与えられれば,崩落現象が完了した時の傾斜角が停止安息角と一致するようバケットを回転させれば良い。その際,目標の崩落土砂量が,2つの安息角に挟まれた部分の土砂量よりも少ない場合には,崩落開始後にバケットを素早く逆回転させる必要があり実機での適用は困難である。よって,2つの安息角で囲まれた土砂量が崩落量の最小値となる。これより多い場合には,バケットの目標回転角を目標値に合わせて設定することで,バケット回転角の分解能に応じた精度で土砂量を制御できる。これを確かめるため,4mm立法程度のサイズの花崗岩,及び珪砂を利用し実験を行った結果,どちらの場合もほぼ予定通りの崩落量を実現できた。また,一度に崩落する土砂量で形成される三角形状の土砂山を最小単位とし,これを組み合わせることで,土砂崩落時の初速誤差の影響をほとんど受けずに本研究課題の目的である所望の形状を近似できる。その一例として,上部が平坦な堆積土砂形状を実験により生成し,その実現可能性を検証した。
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