研究課題/領域番号 |
24560307
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 創太 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20328107)
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研究分担者 |
佐藤 進 秋田大学, その他部局等, 名誉教授 (50005401)
橋詰 匠 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90103621)
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キーワード | ロボティクス / 液晶広角中心窩センサ / バイオメカニクス / メカトロニクス / 人間機械システム |
研究概要 |
2年目の取り組みでは,広い視野を維持したままメカニカルな機構やアクチュエータを用いず注目点の位置を随意に変えることができる液晶広角中心窩レンズの中で中心的役割を果たす局所ズームユニットの設計とその駆動手法確立に取り組んだ.その中で特に注目したのは以下の2点である.(1)メカニカルな機構なしに注目点移動だけでなくバックフォーカスを調節できること.(2)液晶分子の制御により変化させることが出来る屈折率が比較的小さいため,その可塑性を最大限に活かせる光学系構造とすること.ここでは,設計・評価フェーズと試作フェーズの2つを設定して研究を遂行した. 設計・評価フェーズにおいて,研究代表者が中心となって構築したコンピュータ,高解像度CMOSカラーカメラ,光学部品なら構成される光学系の設計・評価に必要となるシミュレーション用広視野センサ試作機(エミュレータ)を用いて目標仕様を設定した.積層型の多電極パターンを有する1次試作機を設計かつ駆動手法を考案し,研究分担者と共にこの構造により注目点移動が可能であることを示した.また,上述の2つの観点からテレセントリック光学系の構造に着目し,液晶の小さなレンズパワーの変化でより大きな像の拡大率変化を実現できる局所ズームユニットを考案した.この局所ズームユニットに用いた構造はバックフォーカスの調整を同時に実現できる.研究分担者との打ち合わせや研究調査及び成果発表のために国内旅費の中から研究打合わせ旅費を使用した.また,設備備品費を用いて試作装置を動作させるためのファンクションジェネレータとノートパソコンを購入した.試作フェーズにおいては,試作した超広角入力レンズ部と組み合わせて液晶レンズが生み出すレンズ効果を最大限に活用できる局所ズームユニットの動作を実証するため試験光学部品を用いて実験を行った.そのため,その他の費用から実験補助のための謝金を使用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレーション用広視野センサ試作機(エミュレータ)の改良や,試作機性能評価のための光学ベンチの構築など,目標仕様の設定及び設計のための取り組みは順調に進捗している.また,注目点移動のための電極パターンの設計と駆動手法の考案も完了している.また,テレセントリック光学系に着目した(1)バックフォーカスの調節と(2)小さなレンズパワーでより大きな拡大率変化を同時に実現できる局所ズームユニットの構造を考案した.しかし,現在の構造には結像状態が視野の一部分で劣化するという問題点が存在するため,これを改善するため試験光学部品を用いて実験を継続している.このため,試作フェーズにおいて,局所ズームユニットの試作に4ヶ月ほどの遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は液晶を用いた局所ズームユニットの試作を円滑に実施するために,研究協力者として秋田大学・工業資源学部・河村希典講師に本計画参画してもらう.最初の4ヶ月を用いて試験光学部品を用いた実験を継続し,現在の局所ズームユニットの構造における結像状態が視野の一部分で劣化するという問題点の改善に努める.そして,バックフォーカス調節の機能を備えた液晶による2次試作機の試作へと移行する.これに既に確立している注目点移動のメカニズムを組み合わせ,同時に複数の注目点を与えることが出来ることを実証する.また,試作レンズを高解像度CMOSカラーカメラと組み合わせて得た像から,液晶レンズ駆動制御の際の情報に基づいて画像中の歪みを除去できるところまで研究を進捗させたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
テレセントリック光学系に着目した局所ズームユニット部に結像状態が視野の一部分で劣化するという問題点が存在し,これを改善するための実験を継続しており,局所ズームユニット部の完成に遅れが生じているため. 局所ズームユニット部の完成とこれを組み込んだ液晶広角中心窩レンズ2次試作機の試作に使用する.
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