研究課題/領域番号 |
24560312
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
積際 徹 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (90362912)
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キーワード | ロボット / 人間-機械協調系 / マンマシンインターフェース |
研究概要 |
本研究の目的は、人間とロボットの力学的相互作用において、人間およびロボットが有する動特性の連続的な干渉制御を実現するマンマシンインターフェースを開発し、干渉制御下で実施される協調作業に関する定量評価を行うことである。本年度の研究実績は、(i) 前年度の研究において設計・製作を行った動特性可変インターフェースならびに提案制御法を用いた協調作業実験を実施し、人間とロボットの相互作用下において、提案概念の発現を確認したこと、そして、(ii) 提案制御法の有効性を確認するため、光トポグラフィ装置(NIRS装置)を用いて実験実施中の被験者の脳血流変化を調べ、高次脳機能の賦活状態を解析する手法の確立を行ったことである。 まず、動特性可変インターフェースを用いた検証実験を行い、提案した制御概念が具現化されていることを実験的に示した。当初の計画通り、本年度末(2013年度末)までにインターフェースの運動制御とロボットの運動制御を統合し、新たな制御法の確立を行うことができた。そして、この新しい制御法によって実現される人間とロボットの協調作業が、実験実施中の被験者の脳血流変化にどのような影響を与えるか、ヒトの高次脳機能の賦活状態を解析するために必要な解析手法の確立とその検証を行った。 なお、開発した機械インターフェースと提案制御法の詳細については、国内の主要学会誌(日本機械学会論文集C編)に2報の論文掲載が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究申請時における年度末(2013年度末)までの予定は、(i) 提案概念の発現についての検証実験、(ii) 検証実験の解析手法の確立とその検証(ヒトの高次脳機能診断に基づく定量評価の実現)であった。 まず、上述の(i)については、当初の予定通りに完了しており、提案概念の発現ができていることを実験的に確認している。前年度に設計・製作を行った動特性可変インターフェースならびに提案制御法を用いた、精密な組立作業(peg insertion task)や高剛性の対象物との接触作業などを行い、人間とロボットの相互作用下において、従来のインピーダンス制御とinherent dynamics interactionとの「滑らかな可変制御」が実現されていることを確認している。また、(ii)については、光トポグラフィ装置を用いて、実験実施中の被験者の脳血流変化を調べ、高次脳機能の賦活状態を解析する手法の確立を行い、現在はその検証を継続実施している。さらに上記項目に加えて、システム全体の安定解析を行う解析手法の構築を行い、これまで明らかにされていなかった提案システムの安定性についての議論を行うことができた。これにより、理論的な安定解析に基づいてシステムの安定性を保証できるようになった。 なお、上記の2項目に関する詳細については、現在、データをとりまとめ、国内の主要学会誌(日本機械学会誌等)への論文投稿の準備をしており、本年度(2013年度)の達成度は充分であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(最終年度)の研究計画は、(i) 提案概念ならびに提案制御法の効果に対する検証、ならびに、(ii) 研究の総括である。 まず、(i)については、本年度(2013年度)に引き続いて、定量的なデータを得ることを目標にして、提案したロボットシステムを用いた検証実験を継続して行っていく。加えて、本年度の研究において確立した安定解析手法を用いて、制御パラメータの妥当性やシステムの安定性についての議論を深めていく。次に、(ii)の研究総括については、次年度を含めて全3年度の中で得た研究成果ならびに知見を国内外に公表すべく、著名な国際学会や国内・海外雑誌へ論文投稿を行う予定である。なお、最終年度以降も本研究における成果の公開を継続していくことで本研究の総括とする。
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