研究課題/領域番号 |
24560317
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北川 秀夫 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80224955)
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キーワード | 移動ロボット / 福祉 / 車椅子 / 障害物回避 / パワーアシスト / 全方向移動 |
研究概要 |
超高齢社会においては,日常生活で介護を必要とする高齢者及び加齢による障害者の増加が不可避である.我々のグループでは,狭い屋内環境での移動,ベッドへの幅寄せ,作業を行いながらの横移動等に有効な全方向移動車椅子の開発を行っている.しかし,自由 度の増加に伴う衝突の可能性をいかに回避するか,介助者が車椅子を押して動かす際に複雑な動作をいかに思いのままに実現させるかといった課題が残っている.本研究ではこれらの課題を解決し,搭乗者にとっても介助者にとっても操作性がよく,かつ安全な全方向 移動車椅子を開発することを目的としている. 搭乗者自身が操作する自走モードにおいて,周囲360度の距離情報が取得できるようにし,搭乗者がジョイスティックを倒そうとした瞬間にその方向を検出して,移動方向の車椅子の速度成分及び障害物との距離からジョイスティックのインピーダンスを決定している.これにより,障害物のある方向に対しては移動指令を出すことが困難になる.さらに,測域センサを車椅子の前後方向の軸周りに回転させることにより,三次元の距離情報を得た.この際,必要以上のデータをとると計算負荷が大きくなってしまうため,いかに少ないデータで効率的に環境認識が行えるかを検証した.さらに簡易的な方法として,センサを車椅子のピッチ軸周りに搖動させることで,必要最小限の環境データを求める方法を開発し,実験にてその有効性を検証した. 搭乗者を含めた車椅子全体の形状を考慮して,衝突の危険度を求めるとともに,車椅子の速度によるインピーダンスを変化させることで,遅い速度であれば(危険でない範囲で)ベッド,机等へ車椅子を寄せられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製作した全方向移動車椅子において,交付申請書に記載した自走モード及び介助モードを実現している.さらに,より効率的な三次元環境情報の獲得についても検証しているため,当初の研究計画はほぼ計画通りに進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
測域センサのみでは特に鏡面,黒色体,ガラス等において誤認識が想定されるため,全方位センサ(全方位カメラ)による三次元の全方位画像情報を統合することによって,環境認識能力を向上させる.なお,カメラの追加により環境中の階段等のパターン認識能力が一層向上することが期待できる.また,カメラ等の情報と合わせた際により有効な測域センサの走査方法があれば,走査方法を変更する.次に,搭乗者の動きを定量的に評価するために,モーションセンサにより頭部,胸部等の挙動を測定する.最後に,安全性の確認とともに,操作性の評価を行う.評価結果より操作支援方法を確認し,不十分な点があれば改良する. さらに,全方向移動車輪をベッドの四隅に取り付け,パワーアシスト制御実験を行う.車椅子とは縦横比が違うため,必要があればアルゴリズムの微修正を行う.安全性の確認とともに,介助者の操作性および搭乗者の快適性の評価を行う.評価結果より操作支援方法を確認し,不十分な点があれば改良する.
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