研究課題
既に到来している超高齢社会においては,日常生活で介護を必要とする高齢者及び加齢による障害者の増加が不可避である.我々のグループでは,狭い屋内環境での移動,ベッドへの幅寄せ,作業を行いながらの横移動等に有効な全方向移動車椅子の開発を行っている.しかし,自由度の増加に伴う衝突の可能性をいかに回避するか,介助者が車椅子を押して動かす際に複雑な動作をいかに思いのままに実現させるかといった課題が残っている.本研究ではこれらの課題を解決し,搭乗者にとっても介助者にとっても操作性がよく,かつ安全な全方向移動車椅子を開発することを目的としている.以下に今年度の研究概要を示す.これまで障害物検出のためにレーザレンジファインダ(測域センサ)を使用していたが,測域センサのみでは特に鏡面,黒色体,ガラス等において誤認識が想定されるため,環境認識能力向上のため全方位センサ(全方位カメラ)により全方位画像情報を取得した.次に,搭乗者等の動きを定量的に評価するために,9軸モーションセンサによる挙動測定を行った.さらに,全方向移動車輪を使用した全方向移動ベッドを製作した.ベッドは病院等の比較的平坦な床上を走行するため,車椅子に比較して不整地走行性がさほど要求されない.そこで,対角二輪のみを本研究で開発した全方向移動車輪とし,残りの二輪は受動式のキャスタ車輪を使用している.このベッドにおいて廊下走行および入室のパワーアシスト制御実験を行った結果,全方向移動車椅子と同等の制御性能が得られることを確認した.これらの結果より,開発した全方向移動ロボットの適用範囲を拡張することが可能となった.
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International Journal of Automation Technology
巻: vol.8, no.3 ページ: 490-499