研究課題/領域番号 |
24560318
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田中 芳夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (30357454)
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キーワード | 光ピンセット / 知能機械 / マイクロ・ナノデバイス / マイクロマニピュレーション |
研究概要 |
本研究では,光ピンセットを拡張した概念である光トラップ場の制御による非接触3次元マイクロ操作技術の確立のために,面単位の光トラップ場や光軸方向を含む線分単位の光トラップ場など,光トラップ場の時空間構造をパソコンで精密に実時間制御できる光学系を開発し,高度自動化技術と統合・融合化することで,多様な物質を3次元マイクロ操作できる基盤技術を開発することを目的としている.本年度得られた主な成果は以下のとおりである. 1.ハイブリッド光ピンセット系の最適化:空間光変調器による一般化位相コントラスト(GPC)法と,2軸ミラーと電気式焦点可変レンズによる3D走査法の,2方式の光トラップ場制御系が1台のレーザ源で併用できるハイブリッド光ピンセット系の内,3D走査側を高精度な3次元時分割走査(3D-T3S)ができるように,本年度ヨーロッパ光学会Journal of Optics誌によりHighlights of 2013に選定された原著論文の設計指針に基づき,レンズ配置等を最適化した.これにより,2軸ミラーによるXY走査と焦点可変レンズによるZ軸走査を同期して時分割走査することが可能となり,4~8個の孤立点型トラップ点を3次元座標を指定して生成・制御できるようになった. 2.微粒子の動的配置に適した時空間構造の探索:画像処理を用いて光学顕微鏡下にばらまかれたマイクロビーズ位置をすべて検出し,各々の検出位置にGPC光学系により2次元高輝度円状パターンを投影することで,画面内(28個)のビーズをすべて同時に捕捉・制御・配列できることを示した.その後,GPC光学系で動的に固定されているビーズの位置に,3D-T3S光学系で孤立点型のトラップ点を複数生成し,それらの3次元座標を制御することで,2次元的(XY平面内)に配列された任意のビーズを取り出せることなどを示し,提案する方法の有効性を実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も,国際会議での成果発表,国際誌への論文掲載を行うことができた上に,昨年度ヨーロッパ光学会誌Journal of Opticsに掲載された論文がHighlights of 2013に選定されるなど,提案した光学系の新規性と有用性が世界的に高く評価された.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり順調に計画は進捗しているので,3年目の最終年度は,より積極的に国内および国際会議で研究発表を行うと共に,国際誌への論文投稿を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度3月末に世界中の研究者が無料で閲読できる国際誌へ論文投稿(掲載料:約15万)を予定していたが,研究所の空調工事等に伴う緊急作業などで,論文完成が3月末に間に合わなかった. 繰り越し分については,3月末に投稿予定であった論文の英文校正と掲載決定時の当該論文掲載料として次年度使用する計画である.
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