研究課題
本研究では,光ピンセットを拡張した概念である光トラップ場の制御による非接触3次元マイクロ操作技術の確立のために,面単位の光トラップ場や光軸方向を含む線分単位の光トラップ場など,光トラップ場の時空間構造をパソコンで精密に実時間制御できる光学系を開発し,高度自動化技術と統合・融合化することで,多様な物質を3次元マイクロ操作できる基盤技術を開発することを目的としている.最終年度に得られた主な成果は以下のとおりである.1.微粒子操作に適した時空間構造の探索と制御:昨年度までに試作・最適化したハイブリッド光ピンセット系の時分割走査側を用いて,円ハフ変換による微粒子認識と孤立点型トラップ場の3次元構造の制御で,カバーガラス上に滴下した溶液中にランダムに分散した8個の微小ガラス球から,6面体の各頂点位置に微粒子を配置した3次元構造の動的アレイが全自動で作成できることを示した.また,この3次元アレイは,3次元空間内において回転,並進,拡大・収縮などの幾何学変換を行えることも示した.これら結果は,次世代センシングツールと期待される動的微粒子アレイの有用性や可能性をより高めるものと考える.2.非球状物操作に適した時空間構造の探索と制御:我々がOptical Express誌などで提案している光多点クランプ法による非球状物の操作法を,電気式焦点可変レンズを用いた3次元時分割走査法を用いることにより,レーザ光源1台の光学システムで3次元へ拡張できることを示した.そして,珪藻とその破片を2~4点で捕捉し,これら捕捉点を3次元位置制御することで,捕捉した珪藻を3次元空間内のXYZの3軸回りに回転できることなどを示し,拡張した本方法の有効性を実証した.この結果は,単一細胞の精密操作が不可欠なライフサイエンスおける汎用ツールとしての光トラップ技術の有用性をより高めるものと考える.
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Biomedical Optics Express
巻: Vol.5(7) ページ: 2341~2348
10.1364/BOE.5.002341
https://unit.aist.go.jp/hri/group/2015_nb-4/index.html