研究実績の概要 |
環境汚染物質の分解に利用される大気圧放電プラズマである,直流コロナ放電,Packed-Bed Dielectric Barrier Discharge (PB-DBD),DBD駆動プラズマジェットの診断,およびこれらの放電で生成されるラジカルの種類,濃度を測定した。得られた成果を放電ごとに示す。 (1)水上直流コロナ放電 in-situ IRASによりHO2ラジカルの生成を確認した。また、15分程度の放電照射によって,水中に H2O2,NO3-,NO2-が数~30ppm程度生成されること、各ラジカル濃度が雰囲気ガスの組成に依存することが示された。O3のH2O2生成への寄与はほとんど見られず,放電プラズマと水面の接触がH2O2生成に重要であることがわかった。これより,高エネルギー種と水面近傍のH2O蒸気の反応がH2O2生成に寄与することがわかった。その他の測定結果も総合して,放電中および水中の活性種生成に係る反応過程を推定した。 (2)プラズマジェット OH(A2Σ+→X2Π,308.9nm)の発光スペクトルを位置分解測定し,プラズマジェット中の分子の回転温度の空間分布を調査した。プラズマ中の中性高エネルギー種のふるまい,発光にかかるOHへのエネルギーの移行が,相対湿度により異なることを示した。 (3)PB-DBD PB-DBD 中の活性種を明らかにするため,放電を発生後のガス(オフガス)をイオン交換水にバブリングし,水中の生成物の濃度を測定した。水中の活性種としてNO3- が検出されるとともに,オフガスの組成分析でN2O5 およびHNO3の生成量が多く検出されたことか,(1)式によりN2O5 から生成されるHNO3 により水中のNO3- 濃度が高くなることが示唆された。 N2O5 + H2O → 2HNO3 (1)
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