クラックを含む高温超伝導(HTS)薄膜中を流れる遮蔽電流密度の支配方程式を導いた.また,解の一意性を保証するために,付加的な境界条件も導出した.さらに,支配方程式の初期値・境界値問題を解く数値解法を提案した. 提案法を用いて,走査型永久磁石法(SPM)のHTS薄膜中クラック同定への適用可能性を調べた.この目的のため,欠陥パラメタを導入し,様々な走査線に沿って欠陥パラメタを計算した.その結果,2つの反対方向に薄膜をスキャンすることによって,クラック位置を大雑把に同定できることが判明した.この意味から,高速・高精度なクラック同定法を開発するためには,SPMを誘導法と組み合わせるべきである.
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