研究課題/領域番号 |
24560322
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
阿部 茂 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70375583)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 電気機器工学 / 電気自動車 / 電磁誘導 / ワイヤレス給電 / 非接触給電 |
研究概要 |
研究着手時の「LCLイミタンス変換器+SSコンデンサ方式」よりも構成が簡素でより優れた特性を持つ「SPL方式」を考案し、多くの成果を得ることができた。これらの成果は電気学会研究会で発表し、電気学会論文誌に投稿した。SPL方式は既存のSP方式の給電トランスを用いることができ、二次側にリアクトルを追加し、整流器をインバータに変更するだけで良いため、実用性も高い。以下「SPL方式」の研究成果について報告する。 1.「双方向最大効率運転の理論構築」 非接触給電の効率は給電電力PL=VL2/RL(VL:負荷電圧)、すなわち等価な抵抗負荷の値RLよって大きく変化する。等価回路で双方向給電(G2VとV2G)の各給電方向での最大効率ηmaxとその時の抵抗負荷の値RLmaxの理論式を導き、送電電圧と受電電圧と定格電力の関係を明らかにした。SPL方式ではG2VとV2Gで最大効率となる電力は等しくなることを証明した。これは実用上重要な特性である。 2.「DC-DC間双方向給電実験による理論の検証」 上記成果をもとに、インバータと車載インバータ間(DC-DC間)で、双方向給電の回路シミュレーションと3kW給電実験を行い、理論の検証を行った。SPL方式では、受電側インバータはダイオード動作させることで、双方向給電を行う簡単な方式である。既存の50kHzFETフルブリッジインバータと新たに製作した30kHzIGBTハーフブリッジインバータで給電実験を行い、両方とも3kWの給電実験に成功した。 実験結果は理論通りで、前者ではG2V=94.4%、V2G=94.8%で従来の一方向SP方式の95.4%とほぼ同じ効率を達成し、後者ではG2V=93.5%、V2G=94.4%であった。Grid側およびVehicle側インバータの入出力電圧はG2VとV2Gでほぼ同じで、実用性の高い方式であることを確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の「LCLイミタンス変換器+SSコンデンサ方式」よりも構成が簡素でより優れた特性を持つ「SPL方式」を考案し、特性の理論証明と実験による検証を行うことができた。 その内容を電気学会論文誌に投稿し、採録決定となった。 国際学会(IEEE ECCE2013)にも論文投稿しており、採択となれば9月に米国で発表する予定である。 給電実験では当初目標の3kW給電を達成し、給電効率も一方向給電と同等の性能を得ることができた。 SPL方式は特許出願済みである。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は当初計画通り、下記テーマに取り組む他、前年度の研究成果を国際学会(IEEE ECCE2013)で発表する。 3.「高力率コンバータ、インバータ、車載インバータの協調制御方式の決定」 平成25年度は商用電源と高力率コンバータ、車載バッテリ模擬の電子付加装置を準備し、フルシステムでの双方向給電を実現する。平成24年度に事前に単相高力率コンバータの課題を検討した。この結果、電圧制御範囲を大きくすると、コンバータに動作安定性や効率の問題があることが判明した。平成25年度ではコンバータの特性改善を図ると共に、フルブリッジインバータで電圧制御も行いコンバータでの電圧制御範囲を小さくする方式を検討する。 ギャップ長の変動や位置ずれが生じた場合は、一次二次間の電圧変化が生じるため、高力率コンバータの電圧制御で電圧変化を吸収する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|