研究課題/領域番号 |
24560322
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
阿部 茂 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70375583)
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キーワード | 電気機器工学 / 電気自動車 / 電磁誘導 / ワイヤレス給電 / 非接触給電 |
研究概要 |
電気学会論文誌に投稿した論文「一方向非接触給電から拡張容易な双方向非接触給電システム」が電気学会論文誌DのH25年7月号に掲載された。またIEEE ECCE2013に投稿中であった論文"Bidirectional Contactless Power Transfer System Expandable from Unidirectional System"が採択され、2013年9月に米国デンバーで論文発表を行った。 (1)「双方向最大効率運転の理論構築」、(2)「DC-DC間双方向給電実験による理論の検証」 電気自動車用非接触給電でSP方式に並んでSS方式が重要になってきたため、当初の「LCLイミタンス変換器+SSコンデンサ方式」から、双方向給電可能な単純な「SS方式」(一次側二次側との同じ構成で双方向給電が容易に実現できる)の研究に注力した。世界標準化で周波数が80kHz~90kHzに決まったため、85kHzで最適なSS方式とSP方式のトランスを設計製作し、性能を比較した。SS方式はSP方式とほぼ同等の性能となることを理論と実験で確認した。 (3)「高力率コンバータ、インバータ、車載インバータの協調制御方式の決定」 世界標準化で漏洩電界の削減が重要な課題に浮上したため、高力率コンバータの代わりにフルブリッジインバータで出力電圧制御を行い、パルス幅制御で高調波電流を抑制し漏洩電界の高調波を抑制する研究を行った。このためフルブリッジインバータの制御回路を改造した。漏洩電界の高調波成分の削減には、一次側から電源の高調波電流を削減する方式と、二次側の整流器の前にリアクトルを設置するSPL方式を検討し、前者が効果的なことを理論的に明らかにした。この成果を電気学会の研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
電気自動車用非接触給電では「SP方式」と「SS方式」が主流である。「SP方式」を双方向給電可能にする「SPL方式」を創案し、理論と実験で性能を確認した。本来双方向である「SS方式」については「SP方式」との相違点を明らかにし、理論と実験で性能を評価した。漏洩電界の高調波成分の低減策も研究し、フルブリッジインバータのパルス幅制御が簡単で効果も大きいことを確認した。 電気自動車用双方向非接触給電の研究が、H25年5月28日の日経新聞に掲載された他、日経エレクトロニクス社から2013年度「NEジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の通り、研究の主要部分は平成25年度までに完了したので、平成26年度は研究のまとめと研究成果の学会発表を行う。
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