研究目標(1)「双方向最大効率運転の理論構築」と(2)「DC-DC間双方向給電実験による理論の検証」に関し、双方向非接触給電の回路方式として、新しく「SPL方式」を考案した。従来の「SS方式」は定電流特性となるのに対し、本方式は「SP方式」と同じ定電圧特性(理想変圧器特性)を持つため実用性が高い。SPL方式では双方向(G2VとV2G)で最大効率となる電力は等しくなることを証明し、実験でG2V=94.4%、V2G=94.8%の高効率を確認した。研究成果は「一方向非接触給電から拡張容易な双方向非接触給電システム」として電気学会論文誌DのH25年7月号に掲載された他、2013年9月米国デンバーで開催されたIEEE ECCE2013でも発表した。 研究目標(3)「高力率コンバータ、インバータ、車載インバータの協調制御方式の決定」に関しては、世界標準化で漏洩電界の低減が重要な課題に浮上したため、高力率コンバータの代わりにフルブリッジインバータで出力電圧制御を行い、パルス幅制御で高調波電流を抑制し漏洩電界の高調波を抑制する研究を行った。一次側から電源の高調波電流を削減する方式と、二次側の整流器の前にリアクトルを設置するSPL方式を検討し、前者が効果的なことを理論的に明らかにした。この成果は2014年9月米国ピッツバーグで開催されたIEEE ECCE2014で、”Methods for Reducing Leakage Electric Field of a Wireless Power TransferSystem for Electric Vehicles”として発表した。また漏洩電界低減のためには、トランスを2台用い漏洩磁界を相殺する方式が有利であることを理論と実験で明らかにし、平成26年8月電気学会産業応用部門大会で発表した。
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