前年度までに開発した高電圧・高dv/dtパルス電圧発生装置を用いて,発信器および増幅器によって構成される従来の方形波電圧連続発生装置では不可能であった,動的指示損失パラメータλfの磁束密度Bおよびその時間微分dB/dt特性を得ることができた。 上記の測定は,フェライトコアを常温および概ね零℃に管理された温度において行い,両者においてdB/dtの増加に伴い動的磁気損失が増加していることが明らかとなった。また,温度特性としては今回用いたPC40材に関しては,常温の方がヒステリシス損失は大きくなるが,動的磁気損失は大差無いことが分かった。この結果から,ヒステリシス損失と動的磁気損失の発生物理メカニズムに基本的な相違があることが予想される。 また,dB/dtが正および負となるB-H領域の動的磁気損失を比較し,両者に類似性があるかどうかを検証した。その結果,常温では両者に相関があることが分かったが,低温では顕著な相関は見られなかった。 一方,電源装置の高機能化を実現する磁気デバイスとして,LLCコンバータの高効率化を狙った,コア内脚にコンデンサと接続した巻線を施した新磁気デバイスの提案を行い,そのシミュレーションおよび実験的検討をした。このコンデンサの効果によりコンバータ低出力時の効率改善を試みたが,巻線の銅損がコンデンサ追加による損失低減を上回ってしまうことが分かり,今後の課題が明らかになった。本結果を電気学会の研究会において発表した。
|