研究課題
本研究は、LSIの次世代パワーデリバリーとしてパッケージ集積化電源の基盤技術の確立を目的に行っているものである。平成25年度の研究実績は以下の通りである。1.プレーナパワーインダクタのインターポーザ内蔵プロセスの検討;Zn-Feフェライト厚膜磁心プレーナパワーインダクタについては、厚膜コイルの平坦化プロセスが複雑で、インターポーザ内蔵プロセスにおける信頼性やコストの点で課題があった。今回、インターポーザプロセスにおけるビルドアップ層積層工程を厚膜銅スパイラルコイルの平坦化に採用することでインダクタ作製プロセスを大幅に簡略化することができた。2.ハイブリッド磁心プレーナパワーインダクタの試作;非還元系カルボニル鉄粉とエポキシ樹脂からなる複合材料磁心とZn-Feフェライト厚膜磁心を組み合わせたハイブリッド磁心プレーナパワーインダクタを試作した。ハイブリッド磁心構成による疑似閉磁路構造により、Zn-Feフェライト磁心のみでインダクタを構成した場合に比べて10~100MHz帯で最大36%のQ値の向上が図られ、10%インダクタンス低下の直流重畳電流を2Aから3.5Aに増加することができた。3.プレーナパワーインダクタ内蔵LSIパッケージ集積化電源の基礎検討;東京大学、新光電気工業との共同により、プレーナパワーインダクタ内蔵LSIパッケージ集積化電源の基礎検討を開始した。Zn-Feフェライト磁心プレーナパワーインダクタを内蔵したガラス/エポキシインターポーザ上に180nm-CMOSプロセスで作製したCMOSスイッチをフリップチップ実装して構成されるLSIパッケージ集積化電源の特性シミュレーションを行い、1.8V入力、1V-1A出力で80%の効率が得られるとの予測結果を得た。空心スパイラルインダクタを用いた場合の効率は70%程度であり、磁心装荷による明確な特性向上が示された。
2: おおむね順調に進展している
金属磁性微粒子分散複合材料磁心の開発については、磁性ペーストの印刷むらの向上が課題であったが、従来のスクリーンマスクに替えて、メタルマスク印刷と研磨法の採用により信頼性の高い磁心作製プロセスを確立した。CMOSスイッチDC-DCコンバータのパッケージ集積化を目指して、CMOSスイッチチップの試作を完了するとともに、Zn-Feフェライト磁心プレーナパワーインダクタ内蔵インターポーザへの集積化を前提したコンバータ特性シミュレーションを実施している。
(今後の推進方策);最終年度である平成26年度は、LSIインターポーザパッケージに集積したCMOSスイッチDC-DCコンバータの試作とコンバータ特性の評価を行い、磁心材料を用いない空心インダクタを適用したDC-DCコンバータと比較することによって、複数の電源を集積するシステムインパッケージ用パッケージレベルDCパワーグリッドを構成するに必要な技術として、本技術の優位性を実証する予定である。
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