研究課題/領域番号 |
24560330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
村上 義信 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10342495)
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研究分担者 |
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30115612)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パルス静電応力法 / 空間電荷 / 音響特性 / 分布補正 / 高温 |
研究概要 |
直流絶縁において最も問題となるものに局所電界を変歪させる内部蓄積電荷(空間電荷)があるが、音響特性の測定装置および音響特性を考慮した空間電荷分布の解析法は十分には開発されていない。本研究では高温下における音響特性と空間電荷同時測定装置を開発し、高温下における空間電荷分布の補正法の確立を目指すものであり、本年度は高温下におけるポリイミドフィルムの空間電荷特性の把握と室温下において音響特性を把握し空間電荷分布波形を補正する方法の開発等を実施した。 高温下における空間電荷測定においては周りの環境・材料が空間電荷特性に与える影響を調査し、フィルム自体の空間電荷特性と分離することが重要である。伝搬特性をよくするシリコーン油や音響的整合をとるための半導電電極が高温下において空間電荷に与える影響を調査した。シリコーン油おおよび半導電電極を耐熱性のものに変化させて測定した場合も非耐熱性のものを用いて測定した結果と比較して空間電荷分布はさほど変化しなかったことから、用いたシリコーン油および半導電電極の差異が高温下において空間電荷特性に与える影響は小さいことなどがわかった。 室温における音響特性の把握においては測定フィルムと下部電極の接触状態が空間電荷計測に与える影響を調査した。その結果、フィルムと下部電極の接触状態が悪い場合は、界面のシリコーン油層の存在により見かけ上電荷が注入されたような分布が得られることなどがわかった。また、現在のシステムにおいてフィルムの音響インピーダンスと整合がとれているものとして扱われている半導電電極の実際の測定系における音響インピーダンスの測定方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は高温空間電荷測定システムに音響特性評価機能を組み込み、高温下における空間電荷特性および音響特性を把握する予定であったが、現状では高温下における空間電荷特性の把握および室温下における音響特性の把握に留まっている。室温下における音響特性の把握方法は開発されており、理論上は高温下においても把握可能であるが、高温故の問題が多数あり本年度はその個々の対策に時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き高温下においても音響特性が評価できる空間電荷測定システムの開発を実施し、高温下における空間電荷分布の補正方法の開発、高温下における空間電荷特性の把握を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請段階では新規に音響特性評価機能付き高温空間電荷装置を作製する予定であったが、現有のものに少し手を加えることにより改造が可能であることがわかった。よって、高温故空間電荷の挙動が高速となることが予想されるため、それを取り込むことができるオシロスコープ等の購入に装置作製費を振り替える予定である。
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