研究課題/領域番号 |
24560330
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
村上 義信 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10342495)
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研究分担者 |
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30115612)
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キーワード | パルス静電応力法 / 空間電荷 / 音響特性 / 分布補正 / 高温 |
研究概要 |
高温下における空間電荷挙動をより正確に把握するため、高温下においても空間電荷がより正確に測定できるシステムの開発の進めている 。 高温条件下では、半導電電極または試料の音響インピーダンス等が熱変形により変化し、空間電荷測定システムにおける電極系の音響特性が室温のそれに比べ変化する可能性がある。そこで、本研究では音響特性を測定できる高温用空間電荷計測システムを開発し、下部電極側から見た試料の見かけ上の音響インピーダンスの温度特性を評価した。試料の音響インピーダンスは温度の上昇とともに低下し、音速およ材料の熱膨張率等から評価したそれに定性的に一致した。また、同システムを用いて473Kにおける空間電荷分布を測定したが、今回取得した空間電荷分布は音響特性機能を付加していない装置を用いて測定したそれとほぼ同様な分布となった。以上のことから、高温下においても音響特性は測定できており、音響特性測定回路が空間電荷分布に与える影響はほとんどないと考えられた。 本実験で用いたパルス静電応力(PEA)法では試料と電極間の界面の圧力波の伝搬特性を高めるためにシリコーンオイルが塗布されているが、密着性が不十分であると波形に変化が現れる場合がある。本研究では下部電極側からの試料の見かけ上の音響インピーダンスを評価し、試料と下部電極間の密着状態が空間電荷計測に与える影響を調査した。試料に印加する機械的圧力が低い場合、試料と下部電極間に存在するシリコーンオイル層中の界面分極により、下部電極ピークの移動と強度の減少が生じるため、時間の経過と共に空間電荷が形成されているような分布が得られることなどが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の主目的の一つである音響特性機能付き高温空間電荷測定システムの開発に成功した。また、経験的に試料と下部電極の密着性が高い方がよいということは理解されていたが、定量的に密着性を評価する方法を開発し、密着性が悪い場合は空間電荷分布に変化が現れることなどを明らかにした。さらに、高温において大きな問題となることが予想される半導電電極を用いない空間電荷測定法も開発した。
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今後の研究の推進方策 |
開発した空間電荷測定システムを用いて高温下における音響特性を把握し、その音響特性を用いて空間電荷分布の補正を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初空間電荷測定メインデバイスは新規で作製する予定であったが、既存のものを改良することにより目的を達成できるデバイスを作製することができた。 当初計画よりもさらに機能を付加した空間電荷測定デバイスの製作する予定である。
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