研究課題/領域番号 |
24560333
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
舩曳 繁之 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60108123)
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研究分担者 |
高橋 明子 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10644213)
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キーワード | 太陽光発電 / 電力変動 / カオス / 電力平滑化制御 |
研究概要 |
本研究補助金により設置した日射強度計および太陽光発電システムにより、引き続いて日射強度と発電電力データの収集を行っている。また、同時に本システムを使用して、タケンスの埋め込み定理の遅れ時間300秒、埋め込み次元5で太陽光発電電力のカオス短期間予測実験を行った。その結果、快晴日と曇天日で精度良く予測できたが、晴天日(雲の動きの激しい日)での予測精度が悪く、全天候では平均20.6%の誤差で予測できることが分かった。 また、日射強度計より得られた日射強度データを用いた計算機シミュレーションにより、カオス短期間予測のパラメータの検討を行った。次に、得られたパラメータを用いてカオスの特徴である短期間予測について検討を行い、長期予測不能性を定量的に検討した。そして、日射強度変動成分の解析を行い、カオス性の成分と周期性の成分の両者が含まれていることを明らかにし、予測精度を改善するためには両者の成分を予測する手法を組み合わせる必要性を明らかにした。 より大規模な太陽光発電システムとして、800kWのシステムでのカオス短期間予測についても計算機シミュレーションで検討を開始した。さらに、1サイトだけでなく広い範囲に配置したシステムでの検討を行うため、日射強度の平面分布を推定する手法の開発にも着手している。 電力平滑化手法については、移動平均法、修正移動平均法、1次指数関数平滑化法、高次指数関数平滑化法のフィルタ特性を詳細に検討した。フィルタ設計では、LFC領域の周波数成分を除去することを目的とした。その結果、フィルタリング効果と電力平滑化のためのエネルギー貯蔵装置容量の視点から、1次指数平滑化法が検討した中で最も優れた手法であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度から実施している一つの家庭の太陽光発電システム発電電力のカオス短期間予測に引き続いて、800kWの太陽光発電システムでのカオス短期間予測を開始し、さらに日射強度の平面分布の推定手法の開発にも着手している。電力平滑化法に関しては、移動平均に基づいた方法、指数関数に基づいた方法の評価を行った。さらに、公表は今後行う予定であるが、デジタルフィルタに基づいた平滑化法について検討を始めている。以上より、申請書に記載している平成25年度以降に実施予定の項目についても概ね着手し、成果も出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
カオス短期間予測法では、平成25年度の研究過程で明らかになった、太陽光発電電力変動のカオス性と周期性を融合した新しい予測手法の創成を模索する。これには、それぞれの成分をどのように分解し、予測後にどのように合成するかが重要な課題である。また、広域に分散配置された太陽光発電システムの電力変動を平滑化するため、平成25年度に行ってきた日射強度の平面分布推定法の改良を行い、最終的には配電変電所下流全体での電力平滑化につながる日射強度分布推定法の開発を行う。さらに、これまでに評価した電力平滑化制御法と平成25年度に着手した電力平滑化法を比較評価し、フィルタリング性能とエネルギー貯蔵装置の小型化から最適な電力平滑化制御法の決定指針を明らかにする。以上の研究項目を実施し、最終年度の研究総括とまとめを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算に計上していた謝金の使用が、計画より少ない状態となったことが主な理由である。 研究成果の公表を行うための国際会議出席、研究動向ならびに調査、および成果発表のための国内および国外の出張、研究推進のための謝金、研究成果の学会誌掲載のための経費、最終報告書作成の費用として使用する予定である。
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