研究実績の概要 |
従前,地元電力会社支援で実現できた3,300V実配電系での「配電系電力状態観測用樹脂一体型電圧電流センサ」のセンサ出力検証実験に対して,最終年度は,本研究課題の「柱上開閉器内蔵樹脂一体型電力状態観測センサ」を3,300V実配電系規模を想定した末端開放状態の模擬三相配電系に装着し,研究経費で購入した計器用変圧器(変圧比60:1)を用いて,3,000Vを超える三相高電圧発生装置を設計・作製し,1,000~3,600Vの範囲で,柱上開閉器内蔵型電力センサを模した模擬開閉器内の電圧センサ部出力実験を実施できるようにし,対地間三相相電圧波形を計測することに成功した。しかしながら,従前の樹脂一体型センサと比べて,鉄筐体内に三つのセンサを強制的に配置したため,電圧センサに関して,各相間の干渉が出ており,本現象の理論的究明が今後の技術的課題として残され,現在も数値計算で追求中である。 また,従前の実験室での実験では,印加三相電圧の波形計測ができなかったが,別途,計器用変圧器(変圧比2:1)を使って⊿-Y変換して,線間電圧を中性点接地の相電圧に変換し,間接的に印加三相線間電圧を計測できるようにした。さらに,同模擬三相配電系において,三相短絡状態で低電圧を印加して,300A程度の実配電系規模の負荷電流を想定した電流センサの良好な出力特性を確認した。当初,柱上開閉器を模した鉄筐体内に樹脂ブロックで電圧センサ部を絶縁し,その樹脂中に逆直列接続した一対のサーチコイルを埋め込んだセンサでは,鉄筐体ならびに相間の電流の影響をまともに受けるものと思われたが,逆位相直列二連サーチコイルの位相ずれ補償効果で,全く影響がないことも本実験で改めて実証することができた。 本研究課題の支援によって,研究代表者が提案した「柱上開閉器内蔵樹脂一体型電力状態観測センサ」の実現性が理論的にも実験的にも実証することができた。
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