研究課題/領域番号 |
24560338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 敬彦 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50182499)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 汚損沿面放電 |
研究概要 |
1.滞留性の局部放電のスペクトル分布の観測を行うための装置の組み立てを行った。また,スキャニング機能を有するCCDタイプの分光器を配置し,光学系の調整を行い,スペクトル分布取得を確認した。3種類の電解質(塩化カリウム,塩化ナトリウム,塩酸)を用いて,滞留性局部放電のスペクトル分布の観測った。得られた結果を基に,スペクトルの同定を行った。その結果,塩化カリウムおよび塩化ナトリウムの場合はカリウムおよびナトリウムと思われるのスペクトルが観測されたが,塩酸の場合は電解質に起因すると思われるスペクトルは観測されなかった。また,いずれの水溶液においても,窒素分子の発光スペクトル(N2 2nd Positive Band)が検出された。 2.進展性局部放電のスペクトル分布の観測を行うための装置を組み立て,光学系の調整を行った。インパルス電圧を使用して進展性局部放電を発生させるとともに,フラッシオーバ試験を行い,沿面破壊電圧の確認を行った。進展性局部放電の発光は極めて短時間であり,繰り返し局部放電を発生させ,発光スペクトルの取得を確認した。また,発光スペクトルの取得に必要な局部放電の繰り返し回数のおおよその目安を取得した。3種類の電解質(塩化カリウム,塩化ナトリウム,塩酸)を用いて,進展性局部放電のスペクトル分布の観測を行った。印加する電圧は電解質水溶液面でのフラッシオーバ電圧の90%程度とした。得られた結果を基に,スペクトルの同定を行った。その結果,塩化カリウム水溶液および塩化ナトリウムの場合,放電の根元付近でカリウムおよびナトリウムと思われるのスペクトルが観測されたが,放電先端付近では観測されなかった。塩酸の場合は電解質に起因すると思われるスペクトルは観測されなかった。また,いずれの水溶液においても,窒素分子の発光スペクトル(N2 2nd Positive Band)が検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた内容はほぼ終了した。ただし,研究会への発表を考えていたが,発表者の予定が立たず投稿を断念した。この点では,計画を達成できなかった。以上より,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究を進める。なお,平成25年度は下記の4.の途中までを実施する予定である。 1.放電空間の温度の推定を行うために,モノクロメータを用いた窒素分子の発光スペクトル(N2 2nd Positive Band)の測定系を組み立てる。放電空間からの発光のみを観測するために,スリットの製作を行う。電極系は前ページの電極系を使用する。また,モノクロメータの出力を高速のオシロスコープで観測するために,光電子増倍管による電気信号への変換および増幅を行う回路を製作する。さらに,モノクロメータの装置関数の取得を行う。 2.滞留性局部放電からの窒素分子の発光スペクトルの詳細な観測を実施する。得られた結果を基に滞留性局部放電の温度の推定を行う。また,結果の検討・評価を行う。 3.進展性局部放電の場合,局部放電が電解質水溶液の中央を進展する場合について観測を行う必要がある。その判別を行うために,局部放電の経路を観察する装置を製作する。 4.進展性局部放電からの窒素分子の発光スペクトルの詳細な観測を実施する。得られた結果を基に進展性局部放電の温度の推定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な物品として,発光スペクトル観測用の高速ディジタルオシロスコープの購入を計画している。他は,薬品や材料等の消耗品と,情報収集のための旅費,実験補助の謝金を考えている。
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