研究課題/領域番号 |
24560338
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 敬彦 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50182499)
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キーワード | 汚損沿面放電 / 滞留性局部放電 / 進展性局部放電 / スペクトル / 気体温度 |
研究概要 |
1.滞留性局部放電の放電部分の温度を求めるために,滞留性局部放電からの窒素分子の発光スペクトル(N2 2nd Positive Band)の観測を行った。得られたスペクトル分布と気体温度を仮定したスペクトル分布の理論的分布とを比較し,気体温度の算定を行った。対向させたガラス繊維ろ紙を電解質水溶液と湿らせて電極とし,その間に滞留性局部放電を発生させた。使用した電解質は塩化カリウム,塩化ナトリウム,塩酸である。また,放電電流を変化させるために電極系と直列に抵抗を挿入し,その値を変化させた。数種類の気体温度の算定方法を適用したが,最も誤差が小さくなったフィッティング法を用いた。その結果,次のことを明らかにした。 ①気体温度は放電電流によって変化し,2000K程度から10000K程度まで変化する。 ②塩化ナトリウムと塩化カリウムの場合,気体温度が高温の場合はナトリウムあるいはカリウムのスペクトルが観測されるが,気体温度が低くなるに従いそれらのスペクトルは著しく弱くなる。 ③以上のことより,滞留性局部放電は放電電流の値によっては,アーク的な性質もグロー的な性質も持ち得ることを明らかにした。 2.進展性局部放電の温度測定のための装置を作製した。印加電圧波形の確認・調整ならびに沿面破壊電圧等の基礎データを取得した。また,予備実験を実施し,発光スペクトルを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画にはなかったが,気体温度の推定誤差をできるだけ小さくするために,スペクトル分布から気体温度を算定する数種類の方法を試し,その中から最も誤差の小さい方法を選んだ。そのため,気体温度の推定に時間がかかった。また,滞留性局部放電の放電電流を変化させて気体温度の推定を行った。これも計画には予定していなかった実験項目である。そのため,時間がかかったが,新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度から平成26年度にかけて予定していた,進展性局部放電の気体温度の推定を行う。できるだけ早く実験を終了し,データのとりまとめを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費・謝金が計画より少なくて済んだ。 物品費(消耗品)として使用する。
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