研究課題/領域番号 |
24560341
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 吉朗 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70220457)
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キーワード | 電気機器工学 / 電力工学 / 瞬時電圧低下補償 / マトリックスコンバータ |
研究概要 |
1.補償電圧ひずみの発生 平成24年度末に,実験で瞬時電圧低下補償動作を確認した。その結果は,同条件のシミュレーション結果とよく一致し,平成25年度電気学会産業応用部門大会,平成25年度電気関係学会九州支部連合大会において発表された。しかし,その後の実験で,瞬時電圧上昇補償時に,補償性能が大幅に低下することがわかった。瞬時電圧低下補償の実験では電源電圧低下の模擬に抵抗挿入による電圧降下を用いたが,その抵抗がダンピング抵抗となってひずみを抑制していたためであった。これに対し,瞬時電圧上昇補償の実験では電圧上昇の模擬に単巻変圧器を用いたため,これのインダクタンスと装置のフィルタコンデンサとの共振で,補償電圧ひずみが発生していた。再度単巻変圧器を用いて電圧低下を模擬した実験を行ったところ,これまで成功していた低下補償の場合においてもひずみが発生した。 平成25年度は補償用変圧器の磁気特性を考慮したシミュレーションについて研究を進めていく予定であったが,上記の補償電圧ひずみ発生のために,予定の変更を余儀なくされた。 2.補償電圧ひずみの抑制 補償電圧ひずみ抑制のために,フィードバックゲインの調整やフィードフォワード制御などを検討したがうまくいかず,オープンループの制御に変更した。また,検出した電源電圧にローパスフィルタおよびオールパスフィルタを用いて,高い周波数のひずみを取り除いた。これらにより補償電圧のひずみが改善され,補償動作が可能となった。その成果については,International Conference on Electric Machines and Systems 2013 および Journal of International Conference on Electric Machines and Systems,平成26年電気学会全国大会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定よりも研究が遅れた理由は,「9.研究実績の概要欄」でも記入したように,実験を進めていく中で,補償電圧にひずみが発生するようになり,この対策にかなりの時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
補償電圧ひずみを回避するために補償電圧のフィードバックを外したが,そのために補償動作に若干の遅れが生じている。これを解決するために,補償ひずみに対する検討にもう少し時間を割いたのち,【5.補償用変圧器の磁気特性まで考慮したシミュレーション】,【6.実験システムの改良】,【7.瞬時電圧変動補償の実験】,【8.出力電圧調整の実験】,【9.まとめ】の順に研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度末に,学生の補助により実験を行う予定であったが,日程が合わず,アルバイトを依頼できなかった。また,実験が思うように進まなかったために物品費が黒字となった。このため,国際会議出席で旅費が赤字になったり,その参加費の支払いでその他が赤字になったりしたにもかかわらず,全体では17638円の次年度使用額が生じたものである。この次年度使用額は平成26年度の消耗品購入に加える予定である。 平成26年度については,実験の続きを行いシステムの改良等を進めていくための回路部品や測定関係の消耗品の購入,また,実験データ整理のための謝金等を考えている。さらには,成果を学会等で発表するための旅費や学会参加費を計画している。
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