研究課題/領域番号 |
24560344
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 進 千葉工業大学, 工学部, 教授 (00265472)
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研究分担者 |
伊藤 晴雄 千葉工業大学, 工学部, 教授 (90083849)
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キーワード | 窒素 / 準安定励起分子 / 衝突脱励起反応速度係数 / 失活レート |
研究概要 |
大気汚染物質を放電プラズマにより分解除去する研究が行われている。これらの大気汚染物質を分解除去するために大気中で放電プラズマを発生させ分解除去するが,このとき大気の主成分である窒素の活性種の影響を受けることが推測できる。中でも6.2eVという高いエネルギーを長い時間保持できるN2の準安定励起分子の大気汚染物質による反応速度係数を知ることができれば,実験結果の理解やコンピュータによるシミュレーション用数値データとなり,有害物質の分解過程を推測できることになる。即ち,大気中の汚染物質によるN2の準安定励起分子の衝突脱励起反応速度係数を多くの物質について調べておくことが重要である。そこで,世界的にもデータの欠如している大気汚染物質,特にシックハウス症候群を引き起こす原因といわれているガスについて検討している。今年度は,塗料や接着剤などの溶剤や原料として用いられる酢酸エチルと,プラスチックやゴム,塗料の原料として用いられるスチレンについて検討した。 酢酸エチルによるN2の準安定励起分子の衝突脱励起反応速度係数は,(4.4±0.9)×10-9cm3/sであり,スチレンによるN2の準安定励起分子の衝突脱励起反応速度係数は,(1.6±0.7)×10-9cm3/sとなった。今回得られた酢酸エチルとスチレンにおける衝突脱励起反応速度係数は,これまで測定してきたN2の準安定励起分子の衝突脱励起反応速度係数の値のなかで,キシレンについて大きな値であり,N2の準安定励起分子との反応を考えた場合,極めて速く準安定励起分子のエネルギーを酢酸エチルやスチレンに渡すことができることを示しており,酢酸エチルやスチレンの分解反応に貢献できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,シックハウス症候群を引き起こすガスのうち,塗料や接着剤などの溶剤や原料として用いられる酢酸エチルと,プラスチックやゴム,塗料の原料として用いられるスチレンについて検討することができた。引き続きガスを変えて測定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大気汚染物質によるN2の準安定励起分子の衝突脱励起の反応速度係数という基礎データは欠如しているのが現状である。そこで,まだ測定されていない大気汚染物質について測定を行い,環境汚染物質除去技術の発展に寄与する必要がある。交付申請書に記載したガスに限らず,必要なガスについてのデータを収集し,基礎データの充実を図っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究用のガス購入の予算として少し足りなかったため,未使用額として残しました。 研究用ガスの購入に充てる予定である。
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