インパルス高電圧と60Hz交流高電圧を用いて,植物由来絶縁油(菜種油とパームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)油)中の沿面放電特性が研究された。背後電極を持つ0.1~2.0 mm範囲の狭いギャップ中を進展するインパルス沿面放電において,ギャップ間隔の減少により,フラッシオーバ電圧は増加し,ストリーマ速度は減少する。これらの効果は,正極性ストリーマにおいて顕著である。一方,新油中および熱加速劣化油中の交流沿面放電特性が明確にされた。これらの研究から,PFAE油は電気絶縁性能と酸化安定性に優れ,次世代絶縁油として有望であり,電力変圧器等への適用によって,機器の小型軽量化と長寿命化設計が期待できる。
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